教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/12 TBS系 世界遺産「大噴火!ヨーロッパ最大の活火山」

ヨーロッパ最大の活火山が生み出す景色

 今回はヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山。イタリアのシチリア島の北東部にある山麓の直径が45キロという巨大な火山である。今でも活発な火山活動が続いており、また今までの噴火による溶岩が生み出した独得の地形が存在する。


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 エトナ山は南イタリアだが冬には雪が積もる。現在の標高は3346メートル。現在のと言っているのは噴火でしょっちゅう高さが変わるからである。番組ではスノーモービルで山頂の火口を見学に行っているが、これは噴火の警戒レベルが低いときでないと不可能である。

 エトナの山頂には複数の火口があり、今でも噴気を上げる火口がその中にある。火口には黄色い硫黄が付着しており、現在の最高峰が一番活発な火口で、今もマグマを吹き上げている。エトナでは去年だけで25回も噴火があったという。そして噴火が収まっても斜面の崩落などはしょっちゅうである。噴火が起こる度に山容は変わっていく。

 

 

火山での壊滅から不死鳥のように復活した町

 エトナの噴火で最古の記録は3500年前だと言うが、噴火はその前から続いている。流れ出した溶岩は人が歩くほどの速度で進み、冷えると様々な地形を生み出す。その1つが地底にある氷の洞窟。これは溶岩洞窟で、流れ落ちる溶岩の表面が冷えて固まり、中の溶岩が流れ出すと洞窟が残るのである。このような洞窟はエトナに250もあると言う。そして天井から染み込んだ雪解け水が内部でつららになる。

 エトナの東の斜面の窪地は1万年前に大崩壊によって生じたという。溶岩だらけの裾野には溶岩の渓谷もある。1万年前の溶岩が浸食されて出来たものである。ここでは溶岩がゆっくりと冷え固まったときに生じる柱状節理が見られる。エトナは山腹にも300以上の火口がある。

 そしてその溶岩が壊滅させたのがシチリア第二の都市のカターニャである。ウルシーノ城の回りにある溶岩は1669年の大噴火で城まで流れてきた溶岩の痕跡である。町の大聖堂には当時の様子を描いたフレスコ画があるが、この時には溶岩は町の大部分を壊滅させて海に達した。ウルシーノ城は海沿いにあったのだが、流れてきた溶岩で海岸が埋まって今では500メートルの内陸にあるという。しかし町は不死鳥のように甦った。溶岩を建材として町を再建したのである。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・イタリアのシチリア島のエトナ山は、今でも活発な噴火を続けるヨーロッパ最大の活火山である。
・流れ出した溶岩によって独得の地形が生まれ、250もの溶岩洞窟が存在する。
・エトナ山は山腹にも300以上の火口があり、ここでも噴火が起こる。
・1669年、山腹の噴火によって流れ出した火山によって、カターニャの町は壊滅し、海岸は500メートルも溶岩で埋まった。しかし溶岩を建材にして町は復活した。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・また火山と共に暮らしてきているわけですが、あんな近くでボコボコと溶岩が吹き上げているのにそこで暮らしている感覚って凄いわ。鹿児島なんかも大概だと思うけど、あそこは一応間に海があるから、ちょっとやそっとで溶岩まで流れてこないと思うけど、ここの島は直接溶岩が流れてくるところだからな・・・。

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