琉球王国のグスク
今回は沖縄にある琉球王国のグスク群。これらは石を積み重ねて作った琉球独自のものである。
巨大な勝連城、今帰仁城
まず目立つのは勝連城跡。800年前に王族の城として作られた。山の地形を活かした巨大な山城である。
今帰仁城は13世紀末に築かれた山城である。石の壁で囲われた曲輪が全部で10ある。城壁の総延長は1.5キロに及び、高さは最大7メートル。曲線を描いた壁で敵を迎え撃てるようになっている。
技術が進歩した座喜味城に中城
城壁は時代と共に変化する。15世紀前半に築かれた座喜味城ではより複雑な曲線の城壁となっている。侵入者を追い込むための行き止まりの通路もあり、石垣の積み方ももっと高度になっている。使用するのは琉球石灰岩。これは元々サンゴ礁で作られた石であるが、どうやって切り出して加工したかは謎である。楔を使用して岩を割ったと推測されているが、そのための道具は発掘されておらず、整形の方法は分かってない。
中城はそのまま状態よく残った城郭である。ここはさらに石垣の技術が進歩しており、多角形に削った石を積み上げている。
グスクの頂点の首里城
これらの城を作った王の頂点が建設したのが首里城である。不幸な火事で中心部分が消失したが、今年の11月に復元工事が開始され、4年後の完成を目指している。焼失前の正殿は中国風の豪華なものであった。
首里城周辺の世界遺産は王の庭園である識名園。外国の使者をもてなすためにも使用された。
聖なる信仰の地
王の墓である玉陵も世界遺産である。ここにはサンゴによる石が敷き詰められている。中庭には3つの墓所が並び、これらの墓は琉球石灰岩で守られている。
城は祈りの場でもあった。首里城の中には祈るための聖地もある。森の中に精霊がいるというのが琉球の信仰であった。城はすべて祈りの場に建てられている。ガマという自然の洞窟も祈りの場として使用されている。沖縄戦ではこれらは防空壕にもなった。亀甲墓という洞窟を使用した独得の墓も存在する。
琉球の最高の聖地が久高島。これを本島から望むのが斎場御嶽である。自然の岩に囲われたこの地が聖地となった。
忙しい方のための今回の要点
・沖縄には琉球王国が築いたグスクと呼ばれる城が多く存在する。
・これらの城はサンゴによってできた琉球石灰岩を積み上げて建てられている。
・それらの石材の加工技術は時代と共に進歩しているが、どのような道具が使用されたかなどについては未だに分かっていない。
・それらのグスクの頂点が首里城である。不慮の火事で中央部が焼失したが、今年から再建工事が始まる予定で4年後の完成を目指している。
・また首里城周辺には識名園や玉陵などの世界遺産もある。
・城は祈りの場でもあり、琉球各地にある自然洞窟ガマも信仰の場となった。
・それらの中で一番の聖地は久高島を望むことができる斎場御嶽である。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・琉球の城は非常に印象に残ります。私も今からちょうど10年前に沖縄グスク巡りツアーに繰り出したことがあり、今回の掲載写真はすべてその時のものです。首里城の正殿の和洋折衷な趣には非常に感銘を受けましたので、あの火事のニュースは私にも衝撃でした。
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