鬼才ガウディの建築群
スペインのバルセロナ。ここには鬼才ガウディの数々の建築が残っている。
バルセロナは19世紀半ばに古い市街の外に区画整備された新市街が整備された。ここで多くの若い建築家が登場する。ガウディはその一人だった。1882年、大聖堂の建築が始まるが、翌年にガウディが主任建築家に就任したことで設計が一変する。それが現在も建設が続いているサグラダ・ファミリアである。
資金不足などで何度か中断しながら現在も建設は続いており、ガウディ没後100年の2026年完成を目指していたが完成は遅れている。そんな中、昨年末に聖母マリアの塔が完成した。高さは138メートルで現在最も高い場所である。
建物正面をファサードと言い、3つのファサードが存在するが、その中で最も古いのが生誕のファサードでキリストの物語が精密に彫刻されている。サグラダ・ファミリアは石に刻まれた聖書なのだという。
聖堂内部は2010年に完成された。高さは45メートルで無数の樹木のような柱で支えられている。この生命感がガウディ建設の特徴である。またこの塔のイメージはカトリックの聖地であるモンセラットの岩山からインスピレーションを受けているという。
ガウディの理想の建築
サグラダ・ファミリアの前にガウディが実験台として建築したとされているのがコロニア・グエルの地下聖堂だという。多くの樹木のような柱で支える構造はサグラダ・ファミリアと同じである。
街の外れの丘のグエル公園はガウディが作ろうとした理想の街だという。入口は童話風の建物で、お菓子の家をイメージしているという。階段には噴水が作られ、神話のドラゴンが用いられている。神殿のような作りは市場。ここは住民の交流の場としても作られている。その奥には人工的に作った森があり、自然と調和した散策路がそこを通っている。今、ここは市民の憩いの場となっている。
ガウディ建築の完成形とされるのが1910年に完成した集合住宅カサ・ミラ。曲線で作られた建物の屋上には奇妙な形の煙突が立ち並び、曲線で囲まれた中庭がある。
旧市街にあるグエル邸は、ガウディを支えた実業家グエルの邸宅である。内部には高さ17.5メートルの壮大な吹き抜けがあり、そこには外光が取り込まれている。この空間を支えるためにレンガを積んだ柱の並ぶ地下空間を作ってある。この同様の構造はサグラダ・ファミリアの地下聖堂と共通しているという。この非公開の地下聖堂にガウディの墓がある。
忙しい方のための今回の要点
・バルセロナには建築界の鬼才・ガウディの多くの建築が残っており、世界遺産となっている。
・今も建築中のサグラダ・ファミリア。昨年末に高さ138メートルのマリアの塔が完成した。
・聖堂内部は無数の樹木のような柱で支えられており、この生命感がガウディ建築の特徴でもある。
・ここの実験台として建築されたとされているのがコロニア・グエルの地下聖堂であり、サグラダ・ファミリアと類似した構造が見られる。
・街の外れのグエル公園はガウディが理想の街として建築したものであり、自然と調和した建築となっている。
・また新市街にはガウディの建築の完成形と言われる集合住宅カサ・ミラがある。
・旧市街のグエル邸はガウディを支えた実業家のグエルのための邸宅であり、サグラダ・ファミリアと同様の巨大な吹き抜け空間を有する。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・ところで完成予定が遅れていると言うが、そもそもサグラダ・ファミリアって本当に完成するんですかね? あれは永久に完成しない建築なんだって話もありますが。
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