教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

9/21 NHK 歴史探偵「ヴェルサイユとマリ・アントワネット」

フランス王妃マリ・アントワネットの日常

 前回は「桃太郎」という突拍子もないネタだったが、今回も唐突にマリ・アントワネット。フランス在住の雨宮塔子がこの番組のためにヴェルサイユ宮殿を訪問・・・というように見せてはいるが、実際はこれは別の番組のための取材であり(雨宮がヴェルサイユの至宝を紹介するという番組で、BSで放送されているのを見たことがある)、何もこの番組のためではなくて単なる流用。この番組が行ったのは石橋亜紗アナが宝塚の衣装を借りてコスプレしただけである。

フランス王妃マリー・アントワネット

 まあその内容はともかくとして、とりあえずアントワネットの日常生活は絢爛豪華そのものであったが、その一方でその生活はすべて公開であって(お産まで公開だったとか)、またありとあらゆる儀式が行われていた。これが王妃としての役割だったという。つまりは私生活が存在しなかったということ。これは彼女にとっては相当にプレッシャーであったはずである。その豪華な衣装まで含めて、すべてフランスの宣伝でもあったのだという。

 

 

しきたりを破ったことが反発を呼ぶ。

 オーストリアからやって来た彼女がフランスに広めたものとして、クグロフという菓子があると言う。彼女はわざわざこのためにオーストリアの周辺地域の酵母を使用したという。オーストリアは家族の団欒を重視する自由な気風があったので、政略結婚でフランスに来た彼女にとっては、居心地はかなり悪かっただろうという(フランスとオーストリアは長年戦争していたので、貴族の中には敵意を持つ者も少なくなかったという)。

 そんなアントワネットがくつろげたのが離宮のプチ・トリアノンだという。彼女はここで家族や友人たちと宮殿とは違う私生活を営むようになっていく。しかしこのような自由を求める彼女の行動は周囲の反発を生む。しかし彼女はそれでも自分の道を歩み続けたという。宮殿内に村落を再現し、自然豊かな環境で自ら子供たちを育てるというそれまでのしきたりに反したことを行う。

 

 

最後は革命の中で全責任を押し付けられる形で処刑される

 だがその彼女の日常が暗転する。フランス革命が勃発してアントワネットたちは捕らえられ、夫のルイ16世は処刑され、彼女も子供たちと引き離されて収監される。彼女は粗末な監獄で監視付きの生活を送らせられたという。処刑されるまでの2ヶ月をここで暮らしたという。

 彼女は裁判にかけられる。彼女は国家財政を窮乏させた罪や外国と通じた罪で裁かれることになる。しかし実際は国家財政の破綻は彼女の贅沢ではなくて、長年の戦争などによる莫大な軍事費が原因だし、外国と通じたというのは騒動の最中に実家のオーストリアに救援を求めたということだけだったという。しかし最初から裁判の結論は決まっており、また陪審員たちは革命で利益を得た者達ばかりだし、さらにもし彼女に味方するような態度を示したら自身が粛正される可能性があり、公正な判決など最初から期待できるものではなかったという。そのような異常な裁判の結果、彼女は斬首刑を宣告される。


 以上、マリ・アントワネットについてであるが、正直なところベルサイユのばらの宣伝以上の内容はなかったような・・・。NHKでベルばらに関する何かイベントでもあるんだろうか? それともうそろそろ佐藤二朗はいらないよな。大河の出番も終わったことだし。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・マリ・アントワネットの王妃としての日常は儀式尽くしの上に、すべてが公開という私生活の存在しないものだった。
・彼女はそれに抵抗して離宮で私生活を送るなどを始めたことで、周囲の反発を呼ぶことにもなる。
・やがてフランス革命が勃発。彼女の生活は暗転する。そして国家財政を破綻させた罪と海外に通じた罪で斬首刑を宣告されるが、最初から結論ありきの裁判であった。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・結局のところ、これと言って驚くところも感心するところもなかったな。いかにもこの番組らしい中身の薄さ。

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