教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

12/5 BS-TBS にっぽん!歴史鑑定「日本人の心のふるさと 伊勢神宮2000年の謎」

伊勢神宮誕生の経緯

 先に「歴史探偵」が出雲大社を取り上げていたが、どうもこういうテーマの時って、概して観光案内に毛が生えた程度の内容になりがちなんだよな・・・。

 伊勢神宮は通称であり、正式名称は神宮。つまりキングオブ神宮である。伊勢神宮は1つの神社ではなくて125の集合体である。その中心は内宮であり、天照大神を祀っている。しかし天照大神は最初から伊勢に祀られていたのでなく、古代は宮中に八咫鏡(御神体)が置かれていたのだが、第10代の崇峻天皇の時に疫病や飢饉などが流行した際に、天照大神(八咫鏡)をよりよい土地にお祀りしたら国難を乗り切れるのではと、それ以降転々として最終的には伊勢にたどり着いたのだという・・・との話だが、実際は伊勢が大和から東に当たることと、東国への拠点になることや、朝廷との交流もあったことなどから選ばれたという。

 なお外宮に祀られている豊受大御神も元々は別の場所に祀られていたが、天照大神が伊勢に祀られて500年後に、雄略天皇の夢に天照大神が現れて、一人では食事が安らかに出来ないから丹波から衣食住の神である豊受大御神を迎えたいと言ったとか。で、今の外宮が始まったという。また古代の伊勢神宮では未婚の女性皇族が伊勢で天照大神に斎王として奉仕するという制度があったという(ほとんど人身御供である)。

 

 

20年に1度の式年遷宮で技術を継承

 江戸時代の伊勢参りコースは夫婦岩のところで身を清めて、外宮に参拝し、その後に内宮に参拝するのがルートとのこと。まあ今でも外宮から先に参拝する人が多いと思う。ちなみにこの項、ほとんど観光案内なのでどうでもいい。

 なお伊勢神宮では20年に1度、式年遷宮という社殿の新築が行われる。その度に隣の敷地(古殿地)に交互に神殿を建設して、神体を移すのである。その度に決まった形式で神殿が建設され、調度品の類いも新たに作られるが、これには職人の技術継承の意味もあるのだという。また古代人には20という数字は神聖だったという話がある。なお解体された古い社殿の木材は鳥居や他の神社の社殿に流用されたりするという。

 しかしその式年遷宮が困難になった時代があったという。それが戦国時代。応仁の乱による幕府の弱体化で朝廷が貧困化したためだという。130年式年遷宮が出来なかった窮地を救ったのが信長だとか。ポンと予算を寄付したらしい。歴代将軍と同じ器量を見せようとしたのだろうという。なおその姿勢は秀吉や家康にも引き継がれた。

 

 

江戸時代の伊勢参りブームの仕掛け人と明治になっての神宮

 江戸時代には伊勢参りが大流行したが、それには御師という仕掛け人がいたという。御師とは元々は神職だが、実際は旅行代理店のような役割を果たしており、明治に廃止されるまでは2000人ほどいたとか。中には犬が飼い主の代わりに参拝したなんて話もある。当時の人口の6人に1人ぐらいが参拝した計算になるとか。

 明治になると天皇は直接伊勢神宮に参拝したという。さらに式年遷宮の木材が不足したことからコンクリートで社殿を作るという話が出た時に、明治天皇がその案を退けたという。そして用材確保のために木曽に専用の森を用意したという。最近は他にも森を保護しているとのこと。


 以上、伊勢神宮について・・・。やっぱり観光案内+α程度の内容しかなかったな。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・伊勢神宮の内宮に祀られているのは天皇家の祖とされる天照大神である。
・伊勢神宮に天照大神が祀られるようになったのは、崇峻天皇の時に宮中から御神体の八咫鏡をより良い土地に移すことが決められてだという。
・その500年後、雄略天皇が見た夢がキッカケとなり、外宮に豊受大御神が祀られるようになる。
・伊勢神宮の社殿は20年に1度の式年遷宮で隣の地に新設されて御神体が移される。これは技術継承の意味もあるという。
・江戸時代には参拝者を世話する御師が全国で伊勢神宮をPRして回ったことから、一大参拝ブームが巻き起こる。
・明治になると式年遷宮のための用材確保が困難となってきて、コンクリートで建てる案も出たと言うが、これに反対したのが明治天皇だという。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・伊勢神宮は私も参拝したことがありますが、確かに聖域感はありますね。特に巨木が多いのが驚く。まあパワースポット扱いされるのは分からないでもない。なおやはり赤福は現地で食べるのが一番美味いと言われる(まあ鮮度が違うから)。

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