火と氷の島アイスランド
アイスランドのヴァトナヨークトル国立公園はヨーロッパ最大級の氷河の下に活火山がいくつも存在するという火と氷の絶景である。
氷河に埋もれた火山は氷河の底が地熱でとけて表面が陥没した地形で分かる。また氷河の上にはマーブル模様が広がっているが、これは氷の上に噴火による火山灰が積もり、その上に雪が積もり、さらに夏になると埃などが溜まる。こうして氷河の中に黒い層が出来、その表面が溶けることで縞模様となったのだという。至るところで火山ガスが噴き出し、温泉も湧いている。これらの原動力は地下活動にある。
大地の裂け目が大噴火を起こし、日本でも飢饉が発生
湖を挟んでいくつも火山が直線に並んでいる火山列があるが、これらの火山は同時代に出来たものである。このような火山列は北米プレートとユーラシアプレートの境界で地面が引き裂かれることで割れ目噴火を起こすのである。中でもラカギガル火山列は1783年にアイスランド史上最大級の大噴火を起こした。噴き上げた大量の塵によって世界の気温が低下し、日本でも天明の大飢饉を起こしたとされる。溶岩に覆われた大地には240年経った今でも木は生えていない。表面は分厚いコケが覆っており、このフカフカのコケの絨毯に植物が生えつつある。いずれは植物に覆われることになると思われる。びわ湖の半分を埋め立てる量の溶岩がこの時に出たのだという。
氷河の末端では削られた土砂が氷の上に蓄積して砂漠のような景色になっている。ヴァトナ氷河は氷の温度がほぼ0℃の温暖氷河であり、年間を通して氷が固まりきらないので氷の中をトンネルを作って水が流れている。海岸に出来た氷河湖には巨大な氷壁がそそり立ち、風と水で削られた氷山が浮いている。これらはやがて海に流され、砕けて氷の欠片となる。これらが海岸に打ち上げられ、ダイヤモンドビーチと呼ばれる景観をなす。溶岩の黒い海岸に透明な氷が散らばる姿は非常に美しい。
忙しい方のための今回の要点
・アイスランドのヴァトナヨークトル国立公園はヨーロッパ最大の氷河だが、この下には多くの活火山が存在する。
・これらの火山はユーラシアプレートと北米プレートが引き離されることでマグマが吹き上げたもので、火山列という形で火山が並んでいる。
・中でもラカギガル火山列は1783年にアイスランド史上最大級の大噴火を起こし、噴き上げた大量の塵が世界の気温を下げ、日本でも天明の大飢饉の原因となった。
・びわ湖の半分を埋めるだけの溶岩が噴き出し、溶岩台地にはまだ木は生えていないが、一面がコケに覆われており、このコケの層から植物が生えつつある。
・氷河の末端では削られた土砂が堆積し、氷河湖から海に流れ出した氷山は砕かれて海岸に打ち上げられ、ダイヤモンドビーチと呼ばれる景観をなす。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・先週に続いての第二回ですが、先週に言っていたことのまんまの続きも多かったようです。それにしても地球の裏側の大噴火が日本にまで影響を与えるとはなかなかの自然の脅威です。
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