教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

7/30 TBS系 世界遺産「船で行ける!世界一長い地底の川」

フィリピンの世界一の地下河川

 フィリピンのプエルトプリンセサ地下河川国立公園は、サンゴ礁の島に世界で一番長い地下河川のある国立公園である。海岸に地下河川の入口があるが、その中はさながら洞窟探検である。


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 パラワン島はサンゴ礁から出来た石灰岩の層が隆起して出来たものである。標高1000メートルのセントポール山も石灰岩。雨水の浸食でトゲのような山になっているが、ここの中腹から地下河川が海に流れている。全長8.2キロ。河口は波打ち際の砂浜の奥にある。内部はボートで進むことが出来る。19世紀末イギリスの軍人が初めてここに入ったという(現地の人は精霊の住処だとして入らなかった)。中には大聖堂と呼ばれる空間があり、鍾乳石が成長した鍾乳洞である。入口から1.5キロの地点に天井高60メートルの最大の空間がある。

地下河川の河口

 2011年、洞窟の壁から2000万年前の動物の化石が見つかった。ジュゴンの祖先のものだという。浸食で姿を現したのだという。入口から4キロの地点で崩れた岩に針路を妨げられる。ボートで進めるのはここまでだが、河川はさらに4キロ続いている。

 

 

山の源流へ

 次は山の側からアタックする。地底河川は石灰岩の山に降った雨が染み込んで出来たものである。セントポール山の中腹にこの地底河川の源流はある。森を流れる川が石灰岩の穴に吸い込まれていく。その先が地底の川になっている。このような流入口は何カ所もあるという。急斜面を登っていくと中腹に巨大な穴がある。直径50メートル深さ40メートルの巨大な穴。太陽がたまたま中に差し込んだ時には幻想的な風景が見られる。この穴も雨水の浸食で出来たものである。

 河口の先では海水と川の水が混ざり合った部分があるが、潜ってみると岩の表面には汽水域で生息する貝などが付着している。また巨大なウナギなども。さらに遡ったらウロコ模様の窪みのある壁が。これは水に含まれる砂粒が渦巻いて岩を削ったのだという。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・フィリピンのプエルトプリンセサ地下河川国立公園には世界一の全長8.2キロの地下河川が存在する。
・これは石灰岩の島が雨の浸食で出来た鍾乳洞であり、地下河川はセントポール山の中腹から始まって、海岸近くに河口がある。
・中には大聖堂と呼ばれる空間などが存在している。
・山の方には森林を流れる川が石灰岩の中に流れ込んで、これが地下河川の源流となっている。
・河口から入ると、海水と川の水が混ざり合う汽水域では岩に貝が付着して、ウナギなども生息している。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・川口浩洞窟探検シリーズみたいでしたが、4キロのところで落石に針路を阻まれてしまって残念ってところか。恐らく大崩落があったんでしょうね。鍾乳洞ってそういう危険は結構あるよな。

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