教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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8/6 サイエンスZERO「潜入!科学警察研究所"科学捜査"で事件を解決せよ」

科学捜査の最前線を紹介

 事件現場の遺留品などから犯罪の証拠を鑑定するのがいわゆる鑑識であるが、それに基づいて科学捜査を行うのが各県警ごとにある科学捜査研究所(科捜研)であり、その元締めとしてさらに高度な分析を行うのが警察庁の付属機関で全国に1つかない科学警察研究所(科警研)であるという。今回はこの科警研で行われる高度な鑑定について紹介する。

科捜研の元締めが科警研とのこと

 科学捜査の役割は客観的な証拠から犯罪を証明することで、これは冤罪を防止することも重要な役割としている。犯罪の証拠として一番有名なのは指紋であるが、実はこの指紋も重なっていたりなどで鑑定が難しい場合があるという。そういう場合に登場するのが科警研が開発したハイパースペクトルイメージャーという装置。これは反射波長から物質の成分や組成を見わける装置で、実は指紋を作っている人の指から分泌された成分は個人で異なっているので、重なっていない部分から検出した成分を元に、重なっている部分を見わけるのだという。

 

 

最新技術で犯罪の証拠を鑑定する

 さらに窓ガラスを割って侵入した犯人の衣類から小さなガラス片が検出された時、これが割れたガラス同じガラスであることを証明する必要があるが、0.1ミリ以下のガラス片は多くの科捜研では分析不可能であるという。しかし科警研ではシリコンオイルを使って屈折率を調査する(シリコンオイルの温度を変えると屈折率が変わるので、屈折率がガラスと同じになるとそこでガラス片が見えなくなる)ことでガラスの同定が出来るのだという。科学捜査はさらに小さな塗膜片から車種を判別したりなども出来る。

 また最近は防犯カメラが決め手となる場合が多いが、防犯カメラの映像は高所からの撮影が多いので、犯人の顔が斜めになっていたりなど同定しにくい場合がある。そういう場合に容疑者の顔を撮影して3Dデータを作成、それを自由に回転させて防犯カメラの映像と重ねて目や鼻や口に顔の輪郭などの一致を確認することで同定するという方法も開発されているという。

 また行方不明者の頭蓋骨から、短時間でコンピューター上に生前の顔を復顔する技術なども開発されているという(昔は粘土細工でハンドメイドで行われていたはず)。

 

 

 冤罪を防ぐということを繰り返していたが、まさに科学捜査はそのために重要である。かつて科学捜査がほとんどなかった時代は自白が偏重され、とにかく脅してでも拷問してでも自白を取れば事件解決とされていたので、これこそがまさに冤罪の温床となっていた。そういう点では技術の進歩は頼もしい限りだが、未だに捜査当局の方にかつての時代の名残があるので、その辺りの意識のギャップもどうにかしていく必要があるだろう。また科学捜査で明白に白黒がつけば良いが、どちらとも取れるという曖昧な結果になることがあるのもまだまだ課題だろう。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・各県警の鑑識の結果に基づいて科学捜査を行うのが科学捜査研究所(科捜研)であるが、さらにそれよりも高度な鑑定を行う組織として科学警察研究所(科警研)が存在する。
・指紋などでも重なっている場合には判断が難しかったが、科警研が開発したハイパースペクトルイメージャーを使用したら、重なった指紋を分別することが出来る。
・また0.1ミリ以下のガラス片は多くの科捜研では分析不可能だが、科警研では屈折率を測定する方法で同定が可能である。
・さらに容疑者の顔の3Dデータを作成することで、防犯カメラの映像と重ねて同定する手法や、頭蓋骨から短時間で復顔する技術なども開発されている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・とにかく冤罪を防ぐということは重要なので、この手の技術の開発は大いに行って欲しいところ。もっともいくら技術が進んでも、政治的意図などから冤罪をでっち上げるなんてことは未だに行われているのだが。

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