教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

8/13 TBS系 世界遺産「壮大!崩落する高さ70mの大氷河」

南米最大の高速氷河

 アルゼンチンのロス・グラシアレス国立公園は南米最大の氷河地帯である。ここの氷河は70mの高さから豪快な崩落を起こすことで知られる。ここには200を超える氷河がある。


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 パタゴニアの乾いた荒野の先にある青い川。その源には大きな湖が、その奥に雪を被ったアンデスが連なる。これを遡ると巨大な氷河が見えてくる。ペリト・モレノ氷河は山から湖まで35キロを流れてくる。鮮やかな青色をしているが、これは気泡を含まない純粋な氷だからだという。この氷壁が1日に2メートルというかなり速い速度で動いている。最大で厚さ700メートルの氷が流れてき、末端ではビル20階の高さの氷壁が崩壊する(あまりに巨大すぎて、映像ではその大きさが分かりにくいが)。崩落したところで氷河からの石などによって水は乳白色になるが、それがやがて石などが沈むと青い水になる。

 

 

氷河を生む「煙を吐く山」

 この氷河の発端はアンデスの山中である。名峰フィッツ・ロイの山肌には氷河が見える。夏になると標高1500メートルでも気温は20度なのだが、周辺は大量の雪が溜まっている。氷河の氷は山で降った雪が固まったものである。標高3405メートルのフィッツ・ロイの周辺では次々と雲が生まれている。先住民はこの山を「煙を吐く山」と呼んでいたという。太平洋から湿った偏西風が山にぶつかって、ここに大量の雪を降らせるのである。これが南米最大の氷河地帯が生まれた理由だった。氷河はやがて川となって周辺の森を潤すのだが、その森には強風で折れた木が多い。この地では台風並の毎秒60メートルの風が吹き荒れることもあると言う。そして乾燥した偏西風が大地を吹き抜ける。こうして山の東には乾いた大地が広がることになる。

「煙を吐く山」フィッツ・ロイ

 溶けて氷河の表面を流れる水は氷河に開いた穴に吸い込まれていく。この穴を通って水は氷の下まで落ちていくのだという。こうした水が氷の下で潤滑油の役割を果たすので、ここの氷河は早いスピードで流れて行くのだという。これが年間600メートルも動く氷河の推進力の元である。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・アルゼンチンのロス・グラシアレス国立公園は南米最大の氷河地帯である。
・ここの氷河は1日に2メートルも動くことから、高さ70メートルの巨大な氷壁が崩れる姿がしょっちゅう見られることになる。
・この氷河の発端はアンデス山脈の標高3405メートルのフィッツ・ロイの山肌から始まっている。フィッツ・ロイは「煙を吐く山」と原住民に呼ばれるぐらい雲がしょっちゅう湧く山である。
・この雲は太平洋を通った湿った偏西風が山肌に衝突することで発生し、これが山の周辺に大量の雪を降らせて、それが氷河の元になる。
・標高の低いところでは夏には気温が20度にもなるので、溶けた水は氷河の表面を流れて氷の穴から底に流れ込んでいく。この水が氷の下に入り込むことで潤滑油の役割を果たし、それがこの氷河が非常に速い速度で移動する理由となっている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・正直なところ、今回の内容はスケールが出来すぎてテレビ映像では氷河の大きさが理解出来ませんね。70メートルの氷壁らしいが、どうしてもせいぜい5メートルぐらいに見える。

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