教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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8/27 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「ちょっとした油断が命取り!?自宅に潜む『骨折』のリスク」

高齢者にとって特に危険な家庭内での転倒事故

 今回のテーマは骨折。特に高齢者は運動能力の低下や骨密度の低下などで骨折をしやすくなり、下手をするとそのまま寝たきりになる危険がある。まず骨折患者だが、60歳以上の高齢者が70%以上を占めるという。また骨折の原因となる転倒は家の中が6割を占めるという。そこで今回は自宅に潜む転倒の危険について迫る。

転倒事故の多くは実は家庭内で発生している

 骨折患者の事例だが、ベッドから降りようとしただけで転倒して足を骨折した例があるという。要注意は段差であり、ベランダから部屋に入ろうとしてサッシにつまずいて転倒、その時に手を骨折した例がある。老化に伴い下半身の筋力が低下し、足が思うように上がっていないことが理由である。この転倒は1センチ程度の段差でも起こるという。

 

 

骨折の危険を増す老化に伴う骨粗鬆症

 さらには骨粗鬆症の進行が骨折を起こしやすくする原因となる。人の体内には古くなった骨を分解する破骨細胞と、新たに骨を作る骨芽細胞の2種が存在し、それらが共に機能することで骨の新陳代謝を行っている。しかしこれはバランスが崩れると骨が破壊されて骨粗鬆症となる。そしてそのバランスが崩れる原因だが、破骨細胞を抑制する女性ホルモンの減少があるという。

 足が上がらないことでの転倒は、カーペットの縁のめくれている部分でさえ起こるという。年を取るとすり足のように歩く人が増えるので、この程度でもつまずくのだという。同様にコードや敷居も危険であり、これらには対策が必要である。

 また70才で現役でバリバリ働いて男性が、階段を降りていて最後の段を踏み外して尻餅をついたことで腰椎を圧迫骨折してしまったという。これも骨粗鬆症で骨が弱っていたことが原因だという。しかもその2年後にはなんとくしゃみをしただけで圧迫骨折をしてしまったという。くしゃみは背骨に強い負荷がかかるので骨粗鬆症で骨が弱っているとこのようなことも起こるという。また中には自覚しないままにジワジワと圧迫骨折しているという例もあるという。昔よりも身長が3センチ以上縮んだとか、猫背になったとかいう人は要注意だという。なお骨は負荷がかかると強くなるので、体重の軽い人ほど弱くなりやすいという。さらに加齢だけでなく、喫煙、飲み過ぎ、運動不足なども影響する。

 

 

危険な転倒ポイントの玄関と骨粗鬆症への対策

 そして転倒が最も多い場所が玄関だという。高い段差がある場所で、靴を履こうとして踏み外す例が多いという。そしてこの時に大腿骨の頸部骨折する例が多いという。大腿骨は一番強い骨だが、大腿骨上部は破骨細胞が最も密集しているので、骨粗鬆症の影響が大きいという(多分一番骨が消耗しやすい部位なので、新陳代謝が盛んなんだろう)。また大腿骨骨折をすると寝たきりになりやすく65歳以上で大腿骨骨折をした人の5年生存率は63.5%に過ぎないという報告がある。だから玄関には靴を履くための椅子とかを用意しておくべきという。

 では骨粗鬆症を防ぐ方法だが、まずは運動。骨は負荷をかけると成長する少し早めのウォーキングやスクワットを推奨している。骨への刺激で骨芽細胞が活性化するのだという。そして栄養面だが、カルシウムは吸収が悪いので、併せてビタミンD(シャケやキノコに多い)を摂る必要があるという。さらにビタミンK(納豆、キャベツ、ブロッコリーなどが多い)を併せると骨へのカルシウムの沈着を促進するという。これらをバランス良く摂るメニューとして番組ではしらす納豆を勧めている。また既に骨粗鬆症になっている場合には薬による治療もあるという。

 

 

 以上、高齢者に危険な家庭内での転倒事故について。これ、まさに心当たりがあり、うちの母が玄関で転倒して大腿骨頸部骨折をやってチタンを入れる羽目になりました。幸いにして寝たきりにはなりませんでしたが、医者も「高齢者はすぐに寝たきりになるから」と大至急手術して、手術後はすぐにリハビリに入ってました。健常者でも2週間も寝込んだら起き上がるのが大変と言うから(私もひどい風邪で一週間ほぼ寝たきりになった時は、立ち上がった途端にめまいがしてコケそうになりました)、高齢者の場合は数日で立ち上がれなくなるなんてことも普通にあるとか。

 高齢者の転倒事故はまた自分のイメージある自分の運動能力と、その時点での実際の運動能力との乖離なども原因になるといいます。実際に私などでも既に、例えば交差点で信号が変わりそうになって走った時などに「あれ?私ってこんなに足が遅かったっけ?」って思うことがしょっちゅうです。自分のイメージにある全力疾走の速度と、実際に出る速度にかなりの開きが生じていて、無理にペースを上げようとしたら足がもつれて転倒しそうになったり、最悪はひざの力がガクッと抜けてしまったりというのには驚いた次第。またすり足までは行ってなくても、前足で蹴躓くことが増えて(自分の足がイメージ通りに上がっていない証拠)老化を痛感した次第。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・高齢者は転倒による骨折で寝たきりになる可能性が高いが、転倒事故の多くは実は家の中で発生している。
・事例としてはベランダのサッシを跨ぐ時に転倒などが多いという。その際に骨粗鬆症を発症しているとより骨折の可能性が高まる。
・骨粗鬆症は破骨細胞と骨芽細胞のバランスが崩れることで発生する。破骨細胞にブレーキをかける女性ホルモンの減少などが原因となりやすい。
・また骨粗鬆症が進行していると、転倒で尻餅をついた時に背骨が圧迫骨折する例などが多い。中にはくしゃみをしただけで背骨が圧迫骨折した例もある。
・家の中で転倒が多い場所が玄関。高い段差があるので靴を履こうとした時などに転倒することが多いので、椅子などを置くべきである。
・高齢になると大腿骨の上部を骨折する事例が多い。この部分は破骨細胞が多いので骨粗鬆症が進行しやすい。ここを骨折すると歩けなくなって、そのまま寝たきりになることが多い。
・骨粗鬆症を防ぐにはまずは運動。骨は負荷をかけると丈夫になる。早足でのウォーキングやスクワットなどを勧める。
・また栄養面ではカルシウムだけでなく、吸収を上げるためのビタミンD、さらに骨へのカルシウムの沈着を促進するビタミンKなどを合わせて摂取することが有効である。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・とにかく運動不足って諸悪の根源です。私が最近富に感じている体調不良も多くが運動不足が原因になっていることの自覚はあります。とにかくコロナ以降運動習慣が壊滅的ですから。これでもかつて山城求めて全国を駆け巡っていた時にはもっと体力があったんですが・・・。

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