信長の茶の湯は天下統一の手段だった
何かまだ前回の大河ドラマ宣伝を引きずっている感のある内容だな・・・。正直あまり新知見がありそうな印象はない。
さて信長の趣味であるが、ここで上がるのは案の定、茶の湯。実際に信長は本能寺にも多くの茶器を持ち込んでいたという。信長は毎年のように茶会を催していたが、その内容は豪勢な料理で来客をもてなしてという、いかにも自身の権勢を見せつけるものであったという。同時に滅ぼした相手から得たり、献上されたりした一級品の名品などを見せつける場であったという。こういう場に商人などを招くことで、彼らから口づてで信長の権勢が全国に広がるという効果があったという。また本能寺で行われた茶会には多くの公家が招かれており、朝廷工作の面があるのと、博多商人である島井宗室も招かれており、信長が既にこの時点で明国征服も睨んでいたのではという。
なお信長の茶の湯については、茶器の価値を高めることで部下に対する褒賞として有効に活用するという側面があったことも良く知られていることである。
秀吉は能を自身の権勢の正当化に利用した
次に秀吉であるが、秀吉が晩年に力を入れた趣味としてこの番組では能を取り上げている。秀吉は移動式の能舞台を作らせて、朝鮮出兵の際の名護屋城でも演能会を開催したという。
また秀吉は能を単なる趣味と言うだけでなく、自身の権威付けにも活用したという。秀吉が自身が主人公の豊公能という10演目を作らせたという。その内容は、秀吉が皇室の血を引いているとか、明智光秀を秀吉自身が自ら討ち取ったとか、挙げ句の果てが秀吉は教養人で神までが秀吉に頭を下げるなど捏造満載の荒唐無稽なものだったという。秀吉はこの豊公能を大名だけでなく天皇の前で前で披露することで自身の伝説を作り上げて、自身の権勢の正当化を図ったのだという(裏返せば、余程出自の低さに対するコンプレックスがあったということだろう)。
ちなみにこの豊公能、この後に徳川の天下になったことと、そもそも能の精神もクソもない荒唐無稽な自画自賛(能楽師は「オレ様能」なんて言っているそうな)のバカらしさから演じられることもなく、現在は6演目しか残ってないそうな。
自ら薬を調合した健康オタクの家康
で、最後は家康だが、やっぱり予想通りに薬作りに注目している。家康愛用の薬研という漢方薬をすりつぶす道具が残っている。家康は自らこれで薬を調合していたのだという。そもそも家康が健康オタクだったのは有名だが、それはとにかく天下を取るためには長生きする必要があったことから。家康の目論見通り、秀吉は秀頼が6才の時に亡くなっている。
番組では当時家康が調合していた薬を再現しているが、その成分には今でも使用されるものもあるので効果はあったと見られるとのこと。もっとも現在では医薬品として登録されていない成分もあるので、そのまま調合して飲むわけにはいかないという。なお12種類の成分を調合するには、1つの成分をすりつぶすのに1時間かかるので、その行為だけでも適度な運動になって家康の健康に貢献したのではとのこと。
以上、3人の天下人の趣味について・・・ってやっぱり思っていた以上に何の知見もなかったな・・・。いかにもこの番組らしいわ。そしてこういう時はさらに佐藤二朗の無駄話が増えて番組の不快感が増すという仕掛け。
忙しい方のための今回の要点
・信長の趣味は茶の湯だが、そこには自身の権勢を見せつけたり、部下の人心掌握に茶器を使うなどの計算もあった。
・秀吉は晩年に能に力を入れたが、豊公能という自身の権勢を正当化させるための能を作って積極的に披露したという。
・家康は天下取りのために長生きすべく、自ら薬を調合して飲んでいた。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・同じようなネタを扱った内容だったら、大昔の「偉人たちの健康診断」の方が余程中身があった。NHKの番組ってドンドンと中身のないものばかりになっていく。
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