教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

10/1 サイエンスZERO「"最恐"のスズメバチ!最強のヒミツ」

スズメバチのパワーの源

 最強の昆虫ともいわれているスズメバチ。実際、数匹のカブトムシが樹液をすすっている現場に現れた一匹のスズメバチが、数分で全てのカブトムシを駆逐するなんて光景も目撃されているという。そのスズメバチの強さのヒミツに迫る。

オオスズメバチ

 スズメバチの強さのポイントの一つは、1日に100キロも飛行するという強靱な持久力。このパワーの源は特殊な栄養補給にあるという。実はスズメバチは巣の中の幼虫が分泌する唾液を飲むのだという。この唾液には17種類ものアミノ酸が含まれているという。このアミノ酸の配合は脂肪を分解してエネルギーにするようになっており、これが持久力につながっているのだという。スズメバチは幼虫に刻んだ餌を与え、幼虫は成虫に唾液を与えるという栄養交換を行っているのである。このような複雑な方法を取るのは、スズメバチの胸と腹の間はかなり細く(1ミリほど)、基本的に液体の栄養しか摂取出来ない構造になっているからだという。だから幼虫を胃の代わりに使っているとも言えるという。

 

 

スズメバチの毒針の進化

 そしてスズメバチと言えば毒針。スズメバチの針はミツバチと違って何度も刺せるようになっているのが特徴である。この毒針の誕生にはスズメバチの進化の歴史があるという。3億年前の祖先に近いとされるハバチでは、毒針でなくギザギザした産卵管がついている。ハバチはこの産卵管を葉に刺して卵を産み付けるのだという。それが2億5000万年前になるとヒメバチのような刺せる産卵管に進化する。これは葉ではなくて虫の身体に卵を産み付けるのだという。そしてさらに併せて麻酔も注入するようになった。そして5000万年前についにスズメバチが登場する。スズメバチは最早産卵管を必要とせず、より効果的な武器になっている。両側についているギザギザを交互に動かすことで針を深く刺して毒液を注入するようになっており、この毒針を使用して巣を狙う熊などまでも攻撃をするのである。

 なおスズメバチに遭遇した時には、ホバリングしながらカチカチと音を立てて威嚇してくるので、落ち着いて離れるのが重要だという。なお刺されると毒液の中には仲間を呼び寄せる成分もあるのでとにかく巣から離れるのが重要だという。

 

 

新型スズメバチの登場

 さらに日本のスズメバチに新たな種が登場しているという。スズメバチの襲撃を受けると、ミツバチは大量に取り囲んで熱殺蜂球を形成してスズメバチを蒸し殺す。これはミツバチが48度まで耐えられるのに対し、スズメバチは46度で死ぬという耐熱性の差を利用している。しかし近年、この技が効かないスズメバチが登場しているという。

ツマアカスズメバチ

 そのスズメバチはツマアカスズメバチという種である。ツマアカスズメバチはオオスズメバチよりも羽ばたきの回転数が高い(オオスズメバチ70回/秒に対して110回/秒)という。これが高い飛行能力につながり、例えばミツバチの巣の回りで30分ほど滞空飛行するということが可能だという。そして巣に戻ってくるミツバチを捕まえるのだという。元々は中国や東南アジアに生息していたが、それが2012年に日本に侵入したのだという。現在は特定外来生物として駆除が行われているという。そう言えば最近、養蜂家のミツバチが謎の全滅を遂げるという事件を何度も聞いたが、どうもその犯人はこいつのようである。

 

 

 以上、スズメバチの能力について。スズメバチが幼虫の唾液をエネルギー源にしているというのは初めて知った。もう既に巣全体で共生関係の生物に進化しているということである。

 ちなみに山歩きをしていての脅威は、熊や毒蛇についでスズメバチである。スズメバチを避けるには常に耳を澄ましていること。木のうろや穴の中などの思いがけないところに巣があることがあるから要注意である。とにかくスズメバチについては「君子危うきに近寄らず」に尽きる。

 なお最後には特定外来生物まで登場したか。養蜂のミツバチの大量失踪は以前に謎と聞いていたのだが(伝染病説などもあった)、新型のスズメバチにやられたというのなら納得がいく。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・昆虫最強とも言われるスズメバチの強さの秘密に迫る。
・スズメバチは1日に100キロも飛ぶスタミナがあるが、そのスタミナ源は幼虫の出す唾液である。この唾液には17種ものアミノ酸が含まれており、それによって脂肪をエネルギーに変換することで高い持久力を持つ。
・スズメバチの成虫は固体の餌を取ることが出来ないので、餌を千切って幼虫に与えて唾液をもらうという栄養交換を行っている。
・スズメバチの毒針は産卵管が進化したもので、スズメバチはこれを使って巣を襲う熊などさえ撃退する。
・近年は外来種のツマアカスズメバチが日本に入り込んでいる。ツマアカスズメバチは高い飛行能力を持ち、ミツバチの巣の周辺で滞空して戻ってくる蜂を捕らえることが出来る。現在は環境への悪影響から特定外来生物として駆除対象となっている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・しかしスズメバチってアップで見るとかなり凶悪な顔をしております。なおこの毒々しい配色も敵に対する威嚇効果がありそう。

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