教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

11/5 TBS系 世界遺産「発見つづく!マヤ文明最大級の都市」

新発見相次ぐマヤ文明の都市遺跡

 グアテマラのティカル国立公園はマヤ文明の最大級の都市遺跡である。ティカルはジャングルを切り拓いて出来た巨大都市だった。1世紀に出来た王朝で800年の間に33人の王がここを支配した。今も残る神殿ピラミッドは王の墓で、8世紀に作られた高さ51メートルもある巨大建築である。最上部にあるのが王の墓である。ここで最大の1号神殿から高価な翡翠を大量に纏った王の遺体が発見された。向き合う2号神殿も高さ41メートルと巨大で他の神殿からも貴族や豪族の墓が見つかっている。また新たな王の墓ではないかという神殿も見つかっている。精細な細工が施された黒曜石が発見されており、王の墓の可能性が高いという。


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 ジャングルの中には他のピラミッドも発見されている。ティカルでは東西南北にピラミッドなどの建造物を配置するのが特徴だという。このような複合体がいくつも見つかっているという。ティカルはその森の貴重な生態系と共に世界遺産に認定されている。森の中にはマヤ人に欠かせなかったラモンの実が存在する。たんぱく質が豊富で保存が効いたラモンの実はマヤ人にとっては貴重な食糧だったという。

 

 

入れ子構造のマヤの神殿

 マヤの建物は古い神殿の内部に入れて、新しい神殿が作られるという入れ子構造で建築されるという奇妙な特徴がある。今年、その中から絵のようなものが刻まれた古い神殿の壁が発見された。これは古い神殿を用済みにするときに封じられたのではないかと推測されている。

 ティカルはメキシコのテオティワカンの影響を受けており、1000キロの距離を隔てて交流があったのだという。様々なテオティワカンの影響を受けた文物が残されている。しかし4世紀、テオティワカンから訪れた人物がティカルの王を処刑し、それ以降ティカルはテオティワカンの影響を受けながら9世紀まで続いたという。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・グアテマラのティカル国立公園は、マヤ帝国最大級の都市の遺跡である。
・ここのピラミッドの王の墓からは大量の翡翠を纏った王の遺体が発見された。
・さらに現在、新たな王の墓ではないかという遺跡も見つかっている。
・ティカルの神殿は入れ子構造で、古い神殿を中に含んだ形で新しい神殿が建設される特徴がある。
・周囲の森では主食のトウモロコシ以外に、たんぱく質に富むラモンの実も採れ、これがマヤの貴重な食糧であった。
・ティカルは1000キロ離れたメキシコのテオティワカンと交流があった。4世紀にはテオティワカンからやって来た人物がティカルの王を処刑し、それ以降はテオティワカンの影響下で9世紀まで続いた。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・放っておくとすぐにジャングルに埋もれてしまう地域ですから、遺跡の発掘も大変でしょう。それにしてもこの地域は、想像以上に高度な文明が築かれていたことが近年分かりつつあります。
・欧米人はよくこの地域の民族を野蛮人扱いしますが、実際は高度な文明人を、武器だけが進化した野蛮なヨーロッパ人が滅ぼしたというのが実態なんですよね。

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