高級ワイン産地・ブルゴーニュの1年
今回はフランスの高級ワイン産地として知られる、ブルゴーニュの1年を追っている。
ブルゴーニュはなだらかな丘の斜面にブドウ畑が広がっている。夏の終わり頃に収穫が行われる。大勢が集まって収穫は一斉に行われる。ブドウを摘むのは傷をつけないように手早く慎重にである。
秋になるとブドウ畑が黄色に染まり、黄金の丘と言われる。この風景は10日ほどだけの物だという。この時はブドウ畑の手入れの時で、枯れた木は根こそぎとりのぞかれる。冬になるとブドウは春まで休眠状態だが、農家は草を取ったり馬で畑の土を掘り起こしたりなどをする。また羊に雑草を食べさせて糞を堆肥にする有機農法も採用されている。
畑ごとに味も価格も変わるワイン
ブルゴーニューは小さな畑が多く存在するのだが、不思議なとこに近くの畑でもワインの味が変わるのだという。細かく区切られた畑の一つを「クリマ」と言い、それらは一つ一つに名前がつけられており、それがそのままワインの名前になるのだという。そして畑ごとに特級、一級、それ以下とランクが決まっていて、それがそのままワインのランクになるという。このようなクリマがこの世界遺産エリアだけで1247もあるという。隣同士の畑なのに出来るワインの価格が3倍も違うなんてこともあるという。これは畑ごとに土壌が異なることによるという。また畑ごとの違いを際立たせるために、あえて育てるブドウは赤ワイン用のピノ・ノワールと白ワイン用のシャルドネの2種に絞っているという。
冬の間に収穫に向けて木の剪定も行われる。今年実をつけた枝を切り落とし、来年用の枝と再来年用の短い枝の2本だけを残すのだという。そして切り落とした枝は燃やして灰にして畑に戻す。こうして土中のミネラルを循環させるのだという。
ワインが富を生んだ
この地のワインは富を生み出した。ここにある修道院は自ら儀式用のワインを製造していたという。その内に土質ごとにワインが異なることに気付き、それがクリマにつながったという。町の地下には数キロにもわたるワインの貯蔵庫がある。またカラフルな建物は病院でワインでの収益で建てられた。清潔な水の代わりにワインが用いられたという。
春になると余分な芽を摘み取る芽かきや、針金を使って木の姿勢を日光が良く当たるように修正したりが行われる。そして夏も8月後半になると収穫のタイミングを決めるのが農家の腕の見せ所である。収穫は晴天がベストなのだが、突然の雨に見舞われるトラブルなども発生する。雨に当たるとブドウが傷みやすくなるので、晴れ間を狙って急ぎの作業となる。またクリマが違うブドウを混ぜてはいけないので、名札で分類して醸造場では一つのクリマごとに作業が行われる。
忙しい方のための今回の要点
・高級ワイン産地で有名なブルゴーニュの1年を追っている。
・夏の終わりにワインの収穫後、ブドウ畑では土作りの作業などが行われる。
・ブルゴーニュは細かい畑(クリマ)の1つ1つでワインの品質が変わり、隣合う畑でのワインの価格が3倍違うなんて事も普通に起こる。ブドウの品質の違いは土質の違いによると言う。
・さらにクリマごとの違いを明確にするために、この地では赤ワイン用と白ワイン用の2種のブドウに栽培が絞られている。
・収穫されたブドウはクリマごとに混ざらないように名札をつけて分類され、醸造所でも1つのクリマごとに作業が行われている。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・そこまで細かくワインの品質が変わるとは驚いた。しかし自然の物だけにそういうレベル差は普通に付くようですね。魚沼産コシヒカリとか言っても品質はピンキリだそうだから。もっともそれ以上にコシヒカリは産地偽装が多いようですが。
・ところで杏の新コーナー、火災に遭ったノートルダム大聖堂の現状について紹介していたが、やっぱり中途半端であまり意味のないコーナーだな。
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