教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

12/3 TBS系 世界遺産「エーゲ海の城塞都市 ロードス島」

中世騎士の築いた要塞都市

 ギリシャのエーゲ海の歴史ロマンの島がロードス島である。ここの全長4キロの城壁に囲まれた中心都市ロードスタウンが世界遺産である。ここは600年前にヨーロッパ中から集まった騎士が築いた難攻不落の要塞であった。


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 ロードスタウンは海に面しており、石造り城壁と塔に囲まれたゲートが迎えてくれる。厳重に守られた内部は今は観光都市となっている。ここは城壁に囲まれた直径1キロほどの都市である。内部では古い建物が改修されて住居として使用されており、地震の多いこの地では補給のために建物同士を繋いでいる。

 その南には立派な要塞のような宮殿がある。これを築いたのは聖ヨハネ騎士団。彼らは14世紀からロードス島を拠点にしてイスラム勢力と戦った修道士である。ここに武器庫などを作って、いざという時には市民達もここに籠もった。内部は重厚な作りであるが、そもそも騎士たちは裕福な貴族の子弟であるために、内部はモザイクなどで彩られている。

 

 

騎士団が防衛していたが、ついにはオスマンに陥落する

 海に伸びる騎士団通りには各国から集まった騎士団が居住しており、城壁は国ごとに守るエリアが決まっていた。ロードスは聖地エルサレムへの巡礼ルートとして重要な島で、巡礼者は病気になった時には騎士団が経営していた病院で医療を受けることが出来た。

 ロードスタウンの港には2300年前、高さ35メートルの巨大な像が立っていたという伝説がある。これは古代七不思議の一つに数えられている。元々交易の中継地として栄えていたロードス島にはその頃の古代都市も残る。リンドスは100メートルの丘の上にたたずむ神殿を有する2300年前の古代ローマによる都市の跡である。その後はここに聖ヨハネ騎士団の町が築かれた。ロードスは古代、中世、現代が共存している。

 10万のオスマン軍と戦った700人の騎士の物語も残っている。彼らは城壁によってオスマン軍を撃退した。陸側の城壁は分厚くなっており、これは大砲で崩されないようにしているのだという。1480年の戦いではこの城壁で3ヶ月に渡るオスマン軍の攻撃を凌いだのだという。しかし42年後の1522年、オスマン軍は再びロードスに襲来し、5ヶ月に及ぶ戦闘の末に城壁の一部が崩れてロードスタウンはついに陥落する。騎士団は島を追われて町にはイスラムのモスクが建つことになる。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・ロードス島の城壁に囲まれたロードスタウンは600年前にヨーロッパの騎士たちによって築かれた。
・この島はイスラム勢力と戦うキリスト教勢力の最前線として要塞として築かれた。
・陸側の城壁は特に分厚く、二重になっている。これは大砲に耐えるためである。
・1480年にはオスマン帝国の10万の軍勢を700人の騎士団がうち破った。
・しかし1522年、再びオスマン帝国の侵攻を受け、5ヶ月に渡る戦闘の末にロードスタウンは陥落、騎士たちは島を追われることになる。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・ロードス島といえばどうしても水野良の「ロードス島戦記」の方が浮かんでしまいます。そう言えば歴史書だと思ってこの本を買ったら、ファンタジーで驚いたと言っていた奴がいたな。そりゃ中世歴史物のつもりで読んだらエルフが出てきたら驚くだろう。

     
今やラノベの古典と言える作品です

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