またもや大河絡み企画で真田丸
もうひたすら大河の宣伝番組路線を突っ走っているこの番組。今度はVRでの真田丸と大坂の陣との話。
真田信繁が大坂城の防御の弱点である南方を守護すると共に、攻め手に対して積極的に打撃を加えるべく建設したのが真田丸である。地形を活かして非常に堅固な構造になっている。番組では例によって千田氏がVRを体験して大騒ぎしているが、これは番組的には無意味。
ここを攻めるために徳川勢は、竹束で矢弾を防ぎつつ、塹壕を掘って真田丸に迫るという戦術をとったという。第一次大戦などは双方の塹壕戦になったことが有名だが、既に日本でこの時代に塹壕戦が行われていたことになる。そして接近したところで築山を築いて、この上から真田丸に対して射撃をかけ、その時に突撃するという戦術だったという。しかしこれに対して真田は数人がかりで操作する巨大火縄銃、大狭間筒を駆使して戦ったという。この銃は巨大な弾で鎧を完全に貫通する破壊力があったとのことなので、徳川勢にとっては非常な脅威であった。
一時は講和になったものの、牢人勢が暴発して再戦することに
これに対して家康は輸入した最新鋭の巨大大砲を使って、大坂城本丸を狙い撃ちにして淀殿や秀頼の戦闘意欲を削ぐという戦術に出る。これが功を奏して講和が結ばれ、その条件として堀の埋め立て及び真田丸の取り壊しが行われる(この時に家康は条件になかった内堀まで埋め立てるという卑怯な手に出るのだが、家康を徹底的に美化している大河に準じてかなぜかそれには触れない)。
しかし戦が終わっても。この戦いで一旗揚げることを目指していた牢人たちは引っ込みがつかなくなる。結局は彼らは徳川方に付いていた堺を焼きはらうなどの暴挙に出、再び豊臣と徳川の戦いが勃発することになる。これが大坂夏の陣となる。
信繁の家康本陣奇襲作戦は結局は失敗する
裸城では防御出来ない豊臣方は茶臼山に布陣する。茶臼山の南には自然地形としての谷があり、そこは湿地であるために軍の展開が困難だったという。そこでここに徳川軍を誘い込んで混乱する隙に信繁が騎兵で家康の本陣に突撃して家康を討ち取るというのが信繁の戦術構想だった。
しかしいざ戦いが始まると思惑は狂う。手柄に逸る豊臣の牢人たちが命令に反して勝手に討って出てしまう。当初の戦術構想はここで狂うのだが、生活をかけて必死で奮戦する牢人たちはかなり善戦し、家康軍を押し返して混乱が生じる。そこに勝機を見出した信繁は手勢を率いて突撃をかける。この猛攻に三方ヶ原以来倒れたことがないという家康の馬印が倒れ、家康は二度にわたって自刃をしようとして家臣に止められるという事態にまで追い込まれるが、家康の側近たちが駆けつけたことで信繁も討ち死にし、豊臣方の敗北が決する。
ということで、新情報的なものは全くない。どころか以前に登場していた大坂城の水没防御などの話も省かれており、結局は大河の宣伝のための中身の薄い内容。目玉のVRとやらも、恐らく大河のために作ったものの流用と思われ、何もない中に真田丸だけが浮かんでいる(遠景としての大坂城の外堀などもなし)ような少々お寒いものであった。いかにもこの番組らしいというべきか。
忙しい方のための今回の要点
・大坂の陣での真田丸をVRで復元。
・鉄壁の真田丸に対し、徳川軍は塹壕で接近し、築山を築いて射撃を行いながら突撃するが、それに対して真田方は巨大火縄銃の大狭間筒で防戦して攻め手を壊滅させた。
・家康は輸入の大砲で本丸を狙い撃ちして講和に持ち込む。そうして真田丸は破壊されて堀も埋め立てられることになる。
・しかしここでの戦いに一発逆転をかけていた牢人たちは納得出来ず、堺の町を焼きはらうなどの暴挙に出、結局は再び豊臣と徳川の戦いとなる。
・城で守れない豊臣方は、茶臼山に陣を敷いて自然の谷で防御、家康勢の混乱をついて本陣を急襲して家康を討ち取る策を立てる。
・最終的に真田信繁が家康本陣を急襲して追い詰めるが、駆けつけた旗本衆に敗北して信繁は討ち死に、豊臣方の敗北が決する。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・本当に見所のない内容だったな・・・。この番組はこういうのが多い。
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