世界中でビタミンD不足が社会問題化
永らく放送がなかったこの番組だが、新年早々の放送である。今回のテーマはインドで「国民の80%が欠乏している」とアピールされているビタミンD。世界では10億人以上が不足しており、日本でもビタミンD欠乏は増加していると言う。ビタミンDが不足したら骨がスカスカの骨粗鬆症になる危険がある。
で、いきなり登場するのは、このビタミンD欠乏の増加に対して責任を感じているという人物、中島英彰氏。彼は極地のオゾンホールを研究して紫外線の害をアピールした人物であるという。しかしそれが過度の紫外線忌避につながり、日本での美白ブームに見られるような徹底して太陽光を避ける風潮から、ビタミンDは紫外線が肌に当たることで生成するので、今度はビタミンD欠乏が増えることに繋がったのだという。
ビタミンDは肌の中にあるコレステロールの原料に紫外線が当たることで生成するという。しかし35年前の母乳と2016年の母乳を比較すると、ビタミンDの含有量が半減しているのだという。つまり若い女性を中心にビタミンD不足が増加しているのだという。
ノルウェーなどでは元々極地である上に山に囲まれていることから、太陽光が不足しているという問題が深刻化しているという。そこで山頂に反射鏡を設置して集落に太陽光が当たるようにしたなんていう実験もなされているとか。
ビタミンDの効果と欠乏症の判定
アルプスの少女ハイジには歩けなかった少女であるクララが登場するが、彼女はくる病であった可能性があるという。当時のヨーロッパではスモッグなどで太陽光が遮断されることでビタミンD欠乏による骨の成長が阻害されて骨が変形したり強度不足になる子供が増加していたという。また大人の場合は骨粗鬆症に繋がる。さらにビタミンDにはガンの抑制、心筋梗塞の予防、免疫力向上など様々な健康効果が指摘されている。なおインフルが冬に増加するのも、ビタミンDの減少による免疫力の低下があるとのこと。
ビタミンDのガンの抑制効果を調べるアマテラス試験なんてことも行われており、死亡率を12%下げるなどという調査結果も出ているという。
番組ではここでビタミンDの欠乏リスクを判定する試験を紹介しているが、その内容は年齢や性別に始まり(若い女性が欠乏しやすい)、現在の季節(日照量が影響する)、運動頻度(していないと欠乏に繋がる)、12ヶ月以内に日焼けをしたか、日焼け止めを使用したか、さらにこの3ヶ月で軽装(腕や足などが出る状態)で日光をどのぐらい浴びたか、青魚を週2回以上食べているかなどから判定するテストである。石原さとみ氏も評価しているが、見事にビタミンD不足である。なおこれを作ったのが、日本人のビタミンD欠乏の原因について研究している大阪公立大学の桒原晶子教授である。そもそも彼女自身が高校生時代には日光を避けていたとのことで、ビタミンD不足を実感しやすくするためにこのテストを作ったとか。
番組では日頃日光を避けている男女に集まってもらってこのテストを行ってもらったところ、10人全員がビタミンD不足という予想通りの結果。
ビタミンD不足解消のための方策
で、当然のようにこの後に対策編になる。ビタミンDは欲しいが、シミやシワは嫌と言うことでこの解決のために再登場するのが、先ほどの懺悔の中島氏。彼は紫外線量測定装置などを使用した研究の結果、ビタミンDを作るのに必要な日光を浴びる時間を算出したのだという。するとシミ・シワのリスクに繋がる時間の1/3でビタミンDが生成するということが分かったという。8月の昼頃だとシミ・シワのリスクが生じるのは25分、これに対してビタミンDの生成には8分で十分なのだとか。この時間差がポイントだという。なおその時間を紹介するサイトが公開されているとか。
また雨天時などは青魚を摂取するのが良いという。サンマなら一匹、鮭なら一切れで良いそうな。ビタミンDは熱に強いので焼いても揚げてもOKで、脂の中に含まれているとのこと。で、先ほどのビタミンD欠乏の方々がそれぞれの方法で解消に取り組んだ結果、5週間後に6人が増えて目出度し目出度しとのことだが、半分じゃんって本音もある。要は効果的な方法を採れなかった人もいるんだろう。で、日光を浴びてビタミンDを作ろう・・・とのことなんだが、最近とみに白塗りの厚塗りが目立つ石原さとみ氏にそれを言われてもな・・・というところはある。
以上、日光不足によるビタミンD不足の問題と対策について。この件は美白ブーム全盛の頃から既に言われているんだが、日本人とはなぜこうも小麦色の肌から美白へと極端から極端に踊らされやすいんだろう。私は小麦色ブームの時は口を酸っぱくして「日焼けするほどに戸外で活動しているのが健康的なのであって、日焼け自体が健康なのではない」と言い続けたが、今は「日光を完全に避けての青瓢箪は骨がスカスカになるぞ」と言い続ける羽目になっている。日本人は○○が健康に良いと言われたら、スーパーの店頭から消え去るぐらいそればかり買い、次に□□がと言われるとそれに乗り換えるということを繰り返している。あまりに目先の情報に踊らされすぎである。実際に酸素なんかも今では「活性酸素は老化の元」と言われて嫌悪されているが、ものの数十年前は活力の源として酸素チューブや酸素カプセルなんかが大人気だった(今でも愛用しているアスリートなんかもいると言うが)。
実際は世の中全てほどほどのバランスがあるということ。だから今回の内容も「ガンガン表で日光浴びろ」にはなっていない。「必要な分は日光を浴びないと」という話。健康法の類いで極端なことをして健康になることはまずない。一般的に身体に良いと言われている運動でさえ、アスリートレベルでやってしまうと身体には拷問と同じで短命になると言われてるんだから(実際にアスリートの若くしての突然死は多い)。
忙しい方のための今回の要点
・現在、世界の多くの国でビタミンD不足が指摘されており、日本でも8割がビタミンD不足との調査がある。
・ビタミンDはカルシウムの吸収などと関係するので、不足すると骨粗鬆症などにつながり、子供時代の不足は骨が十分に成長出来ないくる病などにもつながる。
・さらにビタミンDはガン防止に心筋梗塞防止、糖尿病防止など様々な効果があるとして研究も進んでいる。
・ビタミンDは肌が紫外線を浴びることで生成する。ただし紫外線を浴びすぎるとシミやシワ、さらには皮膚ガンの危険もあるのでその時間が重要となる。
・幸いにして肌に悪影響がある時間よりもビタミンDの生成の時間の方が短いので、それを研究の結果報告したサイトがある。
・また青魚の摂取などもビタミンDを増やすためには効果的である。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・ビタミンD不足については、美白ブームが始まった当初から専門家の間で危険性を指摘されていたのだが、ようやく社会的にクローズアップされてきたか。
・なお私は全国の城巡りで山をガンガン登っていた数年前は、日光浴びまくっていたから骨も筋肉も丈夫で、山で「これは骨折したな」というようなやばいコケ方(足や腕をひねった状態)をしても骨折しなくて済んだが、ここ数年は屋内活動ばかりで日光不足だから、今はいきなりコケたらポキッといきそうだ。
次回のトリセツショー
前回のトリセツショー