教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

1/11 NHK あしたが変わるトリセツショー「メープルシロップの取説!?食卓激変の脅威の力」

メープルシロップの使いこなし

 今回のテーマはメープルシロップ。言わずとしれたカエデの木の樹液から取ったシロップで、カナダの特産品でもある。ただ日本ではパンケーキに付けるぐらいしかあまり用途が浮かばないが、今回その新たな使い方を紹介するという。

カナダの特産ってイメージですね


 で、メープルシロップの使い方を聞くとなるとカナダ人だが、番組ではカナダまで取材に行く費用をケチったのか、日本在住のカナダ人に話を聞いている。

 メープルシロップ専門店を北海道で開いているマーク氏によると、メープルシロップはまさに故郷の味らしい。彼がメープルシロップをいきなり味噌と合わせて生姜焼きやら、卵焼きに入れたりしている。そして一番のお勧めは納豆だとか。ご飯にまでメープルシロップをかけるとのことで、和食に合うと言っている。さらに日本に住んで40年のロバート氏は、焼き鳥にメープルシロップを染み込ませて調理している。これ以外にも肉じゃがやぶりの照り焼きなどやはりあらゆる和食に合うという。

 で、番組では実際にディレクターがあらゆる和食にメープルシロップを合わせてみたところ、確かに合うとのこと。その理由はメープルシロップに含まれる香り物質が醤油やカツオ節に含まれるものと類似していることから、これらの風味を増す効果があるのだという。番組では実際に冷や奴やゆで卵にメープルシロップをかけているが、ゲストによると「合う」とのこと。

 

 

メープルシロップが味に与える影響

 さらにメープルシロップは加えることでうまみや塩味などを強化する機能があるという。特に増すのが余韻だとか。メープルシロップを精進料理に使用している僧侶の方まで登場。精進料理を世界に発信してきた彼だが、相手がムスリムの時に味醂が使用出来ない(酒はタブー)時に代わりにメープルシロップを使ったら大正解だっただという。その時に余韻が増すことに気付いたとのこと。番組では実際にメープルシロップを入れためんつゆを飲んでもらって味の余韻が長く続くという実験をしている。

 さてこの余韻の理由だが、メープルシロップの採取現場の紹介をしているが、この映像、この番組のために出向いたのでなく多分他の番組での取材を流用していると思われる。実際に私が他の番組で見た記憶がある。

 それはともかくとしてメープルシロップは樹液を採取して、それを煮詰めて1/40に濃縮するのだという。そしてメープルシロップは樹液であるので、ポリフェノールなどの苦味成分が含まれている上に、煮詰める過程でメイラード反応が起こってピラジンなどの苦味物質が生成するのだという。この苦味が他の味覚と同時に作用することで、他の味覚の信号も長く感じられるのだという。これは苦味のあるものというのは概して毒なので、人間は生存のために苦味に対して敏感になっているのだという(30種類の味蕾の内、苦味を感じるのは25種とか)。これがメープルシロップの余韻パワーだという。

万能調味料に新シロップ

 番組はここで万能調味料「なごり液」なるものを提案。これは醤油大さじ6、メープルシロップ大さじ2、酢小さじ1を混ぜたものだという。これを親子丼や茶碗蒸しにそばなどに使えば出汁不要とのこと。

 で、この後は番組は料理教室になる(この辺りはガッテンからの伝統だな)。ちらし寿司、焼きおにぎり、カボチャのメープル煮などを紹介しているので、レシピは番組HPへとのこと。

 次はメープルシロップの香りを分析するとのことで、香りのプロであるフレーバリストの意見を聞いているが、とにかく大量の香り成分が登場。それでその分析結果を料理研究家の元に持っていってレシピ開発を依頼。その結果、醤油バターメープル、練りごま珈琲メープル、ベーコンポテトメープルなどを開発。新しいシロップの登場とのこと。これも詳細レシピは番組HPでという話。

 

 

 と言うことで、今回は料理番組でした。ただこうやってあれにもこれにもメープルシロップを使うのは結構ですが、カロリーの方はどうなんでしょうか。健康面で白砂糖よりもメリットがあれば、それもアピールするべきだと思うのだが、そこまで調査がおよばなかったのか、メリットがなかったのか。

 料理に使うときは、要は甘さを加えるメニューでない場合は、甘味を感じるところまででなく、味がまろやかになるレベルまで隠し味的に使うということだろう。そこを間違ったら駄々甘い料理になってしまう危険もあり。ガッテンでも以前に味噌汁にヨーグルトなんて言っていたが、あれも加える量が微妙でそこを間違うと酸っぱい味噌汁になるって話もあったからな。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・メープルシロップと言えばパンケーキぐらいしか用途が浮かばないが、実は和食と相性が良い。
・それはメープルシロップの香り成分に醤油やカツオ節と共通するものがあるので、風味が引き立つのだという。
・またメープルシロップにはポリフェノールや濃縮の過程で生じたピラジンなどの苦味物質があることから、これが外の風味と同時に作用することで味の余韻を強めるのだという。
・番組では醤油大さじ6、メープルシロップ大さじ2、酢小さじ1を混ぜた「なごり液」なる万能調味料を提案。
・さらに香り成分の分析から新しいシロップも提案している。


忙しくない方のためのどうでもよい点

この手の番組での料理ネタって、実は私は半信半疑なんですよね。と言うのは味って好みがあるし、特に関西と関東の違いとかも大きいから。実際にガッテンの頃から何度か試したが、正解のものもあったら「なんじゃこりゃ」ってのも実際にありましたので。とにかく試してみるならあくまで「自己責任」で(笑)。なお我が家での一番のヒットはやはり唐揚げの二度揚げでしょうか。あれは1つの伝説。

次回のトリセツショー

tv.ksagi.work

前回のトリセツショー

tv.ksagi.work