教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

1/18 NHK あしたが変わるトリセツショー「改訂版リンパのトリセツ 健康&美 リンパの秘密に迫る」

リンパの常識

 今回は以前に一度放送したリンパの内容に関する改訂版とのこと。アンケートによると、リンパをどうやって流すかというのが一位で、そもそもリンパって何?が二位、リンパとむくみの関係は?というのが三位だったとか。

 まずリンパって何?だが、リンパがどこにあるのかさえ大抵の人は知らない。実はリンパとは全身を回っている。ただ血管と違ってリンパは透明であるために目立たないだと言う。弘前大学のリンパ博士こと下田浩はリンパに惚れ込んでいるリンパマニア(本業は解剖学者だという)。彼によるとリンパのネットワークは神経や血管の隙間を縫うように全身に広がっているのだという。ちなみにリンパのネットワークがどうやって出来るかは未だにハッキリしていないとか。

 リンパのスタート地点は頭や手足の先で、ここから鎖骨の下に向かって一方向に流れているという。細胞からの老廃物や水分(水分の一部は血管にも回収される)を流すのが役割であり、下水道だという。そしてその老廃物は白血球などによって食べられることで綺麗になるのだという。そして各所にあるリンパ節は免疫の要である。

 

 

リンパとむくみの関係

 ではむくみとの関係だが、むくみは過剰な水分が回収出来ずに身体に溜まった状態だという。なぜ水分が溜まってしまうかだが、リンパ管は血管の心臓のような強力なポンプがなく、逆止弁があるだけで周囲の筋肉による圧迫によって流れるようになっているのでそもそも流れる力が弱く、それが故に滞留しやすいのだという。番組では例のリンパマニアの先生に監修してもらって模型を作って説明しているが、まあそれはどうでも良いこと。なお血管の血液は強力なポンプで全身をわずか40秒で一周するが、リンパは足先から鎖骨まで数時間かかるのだという。それ故に立っていると足にたまって足がむくみ、横になると頭に上がってくるので顔がむくむのだという。

 で、最後がそのむくみ解消法だが、一般的にはマッサージでゴリゴリやられることが多いが、リンパ浮腫(リンパ節の切除などでリンパの流れが滞る病気)の治療に当たっている人物によると、身体表面をさするぐらいで十分なのだという。これはリンパ管は皮膚の下のギリギリぐらいまであるからだという。重要なのは力ではなくて方向だという。鎖骨に向かって一方向にさするのがポイントだという。

リンパマッサージは力を入れてゴリゴリする必要はない

 番組提案は詳細は例によってHPで公開とのことだが、ポイントは力を入れすぎないということと、鎖骨に向けての方向に注意することである。これを実践したら顔がむくみでパンパンになっていた女性がむくみ解消で目出度し目出度しという結論である。

 

 

 以上、リンパマッサージの改訂版であるが、前回を見ていないのでどの辺りが改訂されたのかの詳細は私には分からない。なお私自身もリンパについてはあまり知らないというかイメージがない。そもそも私が生物を習ったような時代は、リンパについては「そういうものがあるのは確かだが、役割とかはまだ良く分からん」という感じに教科書自体がなっていたはずだ。だからこの数十年で研究も急速に進んだということだろう。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・リンパは体中に張り巡らされており、細胞からの老廃物や過剰な水分を回収する。手足や頭部の末端から鎖骨の下に向かって流れており、老廃物は白血球などに食べられて浄化されるようになっている。
・リンパは逆止弁があるだけで、血管のような強力なポンプはなく、周囲の筋肉の収縮で送られるだけなので、血管が40秒で全身を一周するのに対し、リンパは足先から鎖骨まで数時間かかる。だからずっと立っていると足がむくむことになる。
・リンパは皮膚の下のギリギリぐらいまでを通っているので、リンパマッサージは力を加えずに、流れの方向だけを意識して行うのが正解。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・そう言えばやたらにゴリゴリとやるマッサージが「セルライトを押しつぶしてリンパで流す」なんてアホなことを平然と言っていたりするな。ガッテンの時はたまにあったのだが、この番組でもそういうインチキ情報に一撃を食らわす内容が欲しい。

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