海と森と氷河の世界遺産
アメリカ西海岸に荒々しい海岸線が100キロ以上続くのが、オリンピック国立公園。海岸から森、さらに氷河へと表情を変えるのがこの公園である。
海は巨大昆布の森である。この海岸にたむろするのがラッコ。彼らは1日で体重の1/3ぐらいを食べるという。彼らの食糧は昆布を食べに来るウニや貝である。
温帯雨林を通って氷河までの撮影行
この海で北からの寒流が海上の温かい空気を冷やすことで出来るのが大量の霧。この霧が内陸の森を潤している。4000平方キロのオリンピック公立公園の95%が自然保護区となっている。番組では許可を取ってここを通ってオリンポス山の氷河を取材に向かっている。
25キロの荷物を背負っての行程はなかなかハードだという。湿気の多い森ではコケが空気中の水分を吸って成長し、木が分厚い衣を纏ったようになっている。ここは1000を超える種類の苔の森だという。降水量は年間3800ミリも降る。これを苔が保持しているので森は湿っている。これが地球上で急速に減少している温帯雨林である。ここは樹齢100年を越す巨木の森でもある。
撮影隊は氷河から流れ出す乳白色の川を倒木を橋にして渡る。15キロ歩いてようやくキャンプ地に到着、ここでは匂いのあるものはクマ缶と呼ばれる缶にしまう。これはクマに人の食べ物を覚えさせないためだという。
翌朝は雨の中をダラダラした登りを進む。森は苔の森から針葉樹の森に変わり、崩れたら転落必至の瓦礫の急斜面を進む。ここでは砂の急斜面をロープを頼りに降りる難所もある。10時間で2日目のキャンプ地に。ここが氷河を目指すベースキャンプになる。
そして翌朝、氷河に向けて2キロの行程を出発。雪が残る岩山を登り続けてようやくオリンポス山から4キロ渡って流れ出すブルー・グレーシャーに到着。厚さは270メートルあるという。公園内の40氷河の内の最大のものだという。ここからの水が森を通って海岸に流れるのである。
忙しい方のための今回の要点
・アメリカ西海岸のオリンピック国立公園は、海と森と氷河と風景が変わる。
・海岸は巨大昆布の森であり、これを餌にするウニや貝を食糧にして多くのラッコが暮らしている。
・この海で寒流が温かい空気を冷やすことで大量の霧が生じ、その霧が内陸の森を育てる。内陸の森は多くの苔が生息する世界有数の規模の温帯雨林である。
・番組ではこの森を抜けてオリンポス山の氷河を目指しての取材を行っている。25キロの荷物を背負って、ようやく3日目に公園内最大の氷河であるブルー・グレーシャーに到着した。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・氷河まで行程30キロと聞いたら、距離だけだったらそう大したように思えないんですが、25キロの荷物を背負っている上に足下が悪い登りですから、確かに大変でしょうね。山道は距離以上に疲れるので。
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