教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

1/21 TBS系 世界遺産「奇岩が生んだ!中国の絶景地帯」

中国のカルストの奇岩の群れ

 今回は中国南部カルスト地帯。この地域では7箇所が世界遺産に選ばれているという。


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 貴州省の茘波では円錐形の山が連なっている。小七孔は有名な景勝地である。青い美しい川を遡ると滝が現れる。滝は階段のように連なり68段1.7キロに渡って連なる。さらに遡ると山の中腹から湧き出す落差60メートルの滝が現れる。この辺りの山はすべて石灰岩が浸食されて出来た山で、そこに染み込んだ雨水が地下水脈となって噴出しているのだという。中にはかつて地下水脈の跡が洞窟になった鍾乳洞が残っている。さらに上流には水中森林と呼ばれる湖がある。川の流れがせき止められて森が水没したのである。水をせき止めたのは水の中の石灰分が蓄積して出来た自然の堤防である。

 雲南省の石林ではトゲトゲした奇岩の群れが並ぶが、これは茘波よりも雨が少ないために主に表面が浸食されたからだという。これらの奇岩の中には愛称が付けられている物も多数ある。

 

 

少数民族の暮らしとカルスト地形生成のメカニズム

 茘波には少数民族のブイが独自の文化を守って生活している。彼らは水に浸した竹の線維を細かくすりつぶして紙を作っている。この紙は文字を書くのに使うのではなく、輪廻を示す刻印を打ち込んで先祖供養のために燃やすのだという。彼らはわずかな平地で棚田で米を作ってきた。豊かな水に豊作を祈る儀式が行われている。

茘波の山

 カルスト地形の石灰岩はかつては海の底だった証拠でもある。約5000万年前にインド亜大陸がユーラシア大陸に衝突した時に、ヒマラヤ山脈と共にこの地域が隆起したのだという。だからエベレストも実は石灰岩で出来ている。またベトナムのハロン湾も石灰岩の浸食で出来た地形である。ここは海面上昇で奇岩の島々となった。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・中国南部には石灰岩のカルスト地形が世界遺産となっている。
・茘波は円錐形の山が連なる地帯。ここの渓谷には多くの滝があり、中には山に染み込んだ雨水が中腹から噴き出している落差60メートルの滝もある。
・また水中の石灰の蓄積で土手が出来、せき止められた水が森を水没させた水中森林も存在する。
・より雨が少ない石林では、表面が浸食されて奇岩の群れがある。
・茘波では豊富な水を活かして、少数民族が竹の線維をつぶして紙を漉いている。これらの紙は儀式に使用される。
・中国南部のカルストは、かつての海底が5000万年前のインド亜大陸とユーラシア大陸の衝突でヒマラヤ山脈と共に隆起したものである。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・こういう地形って非常に中国らしさを感じさせますね。山水画の風景って、日本では明らかに架空の風景なんですが、中国では現実の風景なんですよね。

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