教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

2/6 BSプレミアム ヒューマニエンス「"口腔細菌"知られざる運命共同体」

口腔内は細菌の住処

 我々の身体の内外には無数の細菌が共生しているのだが、今回はその中の口腔細菌に注目する。

 口腔細菌は800種ぐらいいるらしいが、歯垢1グラム内に1千億ぐらいいるとのこと。また空気が入ってきたり食べ物が入ってきたりなど環境の変化が激しいので、腸などとは違うという。

 腸内細菌は嫌気性の菌が多いが、口腔細菌は好気性の細菌が多い。また歯を磨いてもあっという間に再生するという。口腔細菌は環境によって変化し、生まれたすぐの口腔細菌は親とかなり異なるのだが、それが数ヶ月で母親のものに似た者になるという。また200種ぐらいが勢力争いをしているが、99%は無害な菌で1%の悪玉菌の代表が虫歯菌と歯周病菌だという。また常在菌内のバランスが崩れても虫歯になったり肺炎になったりすることがあるという。手術前に口腔細菌のバランスを調整してから手術をするなどということも、今日には行われているという。

 

 

虫歯はヒトに特有の疾患

 人は昔から虫歯に苦しめられているが、これは歯の表面に生息するミュータンス菌による。ミュータンス菌は歯の表面に城を作るのだという。通常の細菌は歯の表面に貼り付くことは出来ないが、ミュータンスはグルカンを出して歯の表面に土台の石垣を作るのだという。グルカンが貼り付くとミュータンス菌は死んでこれと結合し、強固な石垣(歯垢)になるのだという。そしてそこを土台に増殖し、酸を出すことで歯を溶かしてしまうのだという。そしてミュータンス菌がグルカンを作る原料は糖であり、ミュータンス菌は様々な糖質を利用出来るのが特徴だという。なお虫歯になるのは人間だけで、野生の動物は虫歯にはならないという。

虫歯になるのはヒトだけ

 厄介なミュータンス菌だが、口の中には彼らのライバルもいる。それがジンジバリス菌である。ミュータンス菌が酸性に強いのに対し、ジンジバリス菌は口内をアルカリ性にするという。これはありがたい細菌と思うところだが、実はジンジバリス菌こそが歯周病の原因菌である。野生動物には虫歯はいないと言ったが、歯周病にはかなり悩まされているという。しかも歯周病菌は体内に入り込むと様々な病気を引き起こすので、さらに厄介な菌だとも言える。実は人はミュータンス菌を増やして虫歯を甘受することで、より厄介なジンジバリス菌を抑えたのではという考え方も出来るという。

 

 

虫歯や歯槽膿漏を防ぐ細菌

 縄文時代の頭蓋骨と江戸時代のものを比較すると、縄文時代の方が歯並びが良くてしっかりしているという。人類はかなり昔から入れ歯などの対処をして来ているというが、気をつけないと入れ歯で菌が繁殖することもあるという。そのような人類に朗報として発見されたのがラクトバチルスラムノーザスという人の口腔内で発見された乳酸菌の一種だという。この菌は虫歯や歯周病を抑制するのだという。そもそも歯を磨いていないのに虫歯や歯周病にならない人の口腔内から発見されたものだという。この菌が出す代謝物がミュータンス菌やジンジバリス菌の細胞膜に穴を開けるのだという。

 口腔細菌は人それぞれなのだが、それの交流が起こるのがキスだという。キスの多いカップルほど口腔細菌が類似してくるという報告が出ている。なお口腔細菌の交換は免疫を刺激するのには効果的とのことである。と言うことはボッチはリア充よりも免疫が弱いのか・・・そう言えば、ボッチの方が早死にするという報告もあったな。

 

 

 以上、口腔細菌についての深い話。虫歯と歯周病がお互いに敵対関係というのは初めて知った。しかし現実には口腔ケアが悪いと、両方を同時に患う患者が多いのだが・・・。また体質的なもので歯磨きしなくても虫歯にならない人がいるということは以前から聞いており、羨ましい話だと思っていたのだが、そう言う意味だったのかと今回は納得出来た次第。

 口腔細菌についても腸内細菌と同じで要はバランスが大事であり、特定の菌が蔓延ってしまうと諸々問題が起きるようである。また根絶というのは土台不可能らしいから、しょっちゅう洗口液でクチュクチュやるのもそんなに意味がなさそうである。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・口腔内には800種ぐらいの細菌がおり、1グラムの歯垢中には1千億の菌が含まれており、それらがバランスを保って共生している。
・生まれたすぐの口腔細菌の構成は母親と離れているが、数ヶ月で環境要因で母親に近くなり、それで安定する。
・虫歯を起こすミュータンス菌は歯の表面に生息する珍しい菌で、糖からグルカンを生成することで歯の表面に土台を作ってその上で繁殖する。
・ミュータンス菌とライバル関係にあるのが歯周病菌であるジンジバリス菌である。虫歯は野生動物はならず人間だけだが、人間はあえて虫歯になることで、より深刻な病気である歯周病を避けたという考え方もあり得る。
・歯を磨かないのに虫歯や歯周病にならない人がいるが、そういう人の口腔内からラクトバチルスラムノーザスという乳酸菌が発見された。これが生成する代謝物が、ミュータンス菌やジンジバリス菌の細胞膜に穴を開ける効果があるという。
・キスをすることで口腔細菌は交流するので、頻繁にキスをするカップルでは口腔細菌の構成が近くなるという。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・私はガキの頃から虫歯になりやすいタチで、既に奥歯は全て治療済みであってまともな歯は1本もありません。結局これって、幼い頃に親から良くない菌をもらったんだろうな・・・。そういや歯がダメなのは私の親もだ。

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