新たな生態系の構築の調査
2013年に火山活動が起こった小笠原諸島の西之島。2020年の大噴火で元の島が溶岩に完全に飲み込まれてしまって、陸上生物は全滅してしまった。しかしこうなったことで新天地に外部からどのような生物が上陸して繁殖するかの巨大実験場としての注目を研究者から浴びているという。そこで最新調査の結果を報告するとのこと。
西之島は隣の島からも130キロ離れた絶海の孤島である。そのために生物の上陸は容易ではないと推測される。最初はかつてここで繁殖していた渡り鳥が戻ってきたが、2023年の大量のガスの噴出でそれらも逃げ出したという。では今どうなっているか。
2024年に環境省の調査隊が西之島に向かった。生物学者やロボット操作の専門家などがチームを組んでの調査である。噴火を警戒して火口から1.5キロの範囲に立ち入ることは制限されているので、まず最初の調査はドローンによる。
海鳥を中心に昆虫も繁殖していた
生態系の要は海鳥だろうと推測されていたが、実際に繁殖に成功している海鳥たちが発見された。鳥がいれば糞などの有機物が生じることから、虫が発生することが予想されるので、昆虫学者が虫を捕らえるためのトラップをドローンで仕掛ける。さらに地上探査用のローバーも上陸させた。熱による誤作動などのトラブルもあったが、とりあえずトラップを無事設置。さらには夜の探査のための夜行ローバーによる虫の探査も行われたのだが、ローバーが走行中に転倒などのトラブルも発生。
トラップを回収して調査したところ、ハサミムシが大量にかかっており、繁殖が確認されたという。これらのハサミムシは元々旧島に住んでいたものが生息域を拡大したのだという。さらに以前には昆虫はいなかった東側でまでハサミムシが発見された。目下のところ、西之島ではハサミムシが生態系の主役級の働きをしていると考えられるという。さらにシラミバエの映像も確認され、虫が徐々に増えてきていることが分かったという。さらに今回初めてスナガニの存在も確認されたとか。
以上、西之島の最新報告。うーん、そうですかとしか感想はないわな。生物学者などは興味があるかもしれないが、私のような化学屋には今ひとつピンとこない。
130キロとなると、陸上動物が泳いでくるのはかなり難しいので、勢い生態系は渡り鳥が中心のものになると考えられるから、今後も鳥以外はそれに付着してくる昆虫類がメインになるか。結構独得の生態系になりそうな予感。
忙しい方のための今回の要点
・火山の噴火ですべての陸上生物がいなくなった西之島では、そこにどのような生態系が確立していくかの調査が行われている。
・2024年の調査によると、海鳥が大量に戻ってきていて繁殖していることが確認された。
・また海鳥の排泄する有機物などによってハサミムシが島全域に広がっていっているらしきことも確認された。
・さらにシラミバエ、スナガニなどの存在も確認された。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・うーん、地味(笑)。どうしてもこんな地味すぎるネタの時には「だから何やねん」という気がしてしまうのが本音。まあこういう地味研究が実は科学には重要なんですが。
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