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4/18 BSプレミアム 偉人達の健康診断「関ヶ原の戦い 病と裏切りの西軍編」

 今回は関ヶ原の合戦を病の観点から見ていこうという内容。

 まずは東軍勝利のキーマンである小早川秀秋だが、実は自分が裏切ったことさえ分からない状態だったのではとしている。と言うのは、関ヶ原の合戦の半年後に小早川が医師にかかった時の記録によると、体に黄疸が出て腹にしこりがあるとのことで、これはアルコール性の肝硬変を患っていたと考えられるという。つまりは小早川秀秋は重度のアルコール依存症であった可能性が高い

 小早川秀秋がアルコール依存症になった原因だが、そもそも秀吉の養子として次期天下人候補であった秀秋は、7歳で早々と元服することになる。するとその秀秋に近づく武将達による接待攻勢が始まり、秀秋は7歳から毎晩酒を飲むことになるのだという。アルコール依存症は飲酒開始年齢が低いほどなりやすく、13歳以下で飲み始めた場合は何と半分以上がアルコール依存症になるという。秀秋は秀継が生まれたことで小早川家に養子に出されるが、その頃には秀秋は立派なアルコール依存症で、憂さ晴らしに酒浸りの日々を送るということになっていたようだ。

 さらにアルコールによる肝硬変が末期になると、肝機能の低下によって肝性脳症と言って意識の錯乱などが出始めるのだという。つまりは関ヶ原の合戦時の秀秋は、最早何がどうなっているか全く分かっていなかった可能性があるとしている。

 また石田三成にも問題が発生してた可能性があるとしている。当初の西軍の目論見は松尾山に鉄壁の城を築き、さらに南宮山の城と大垣城で城攻めが苦手な家康相手に籠城戦を行うという構想だった。しかし合戦直前に小早川秀秋が松尾山城を乗っ取ってしまう。この時に三成は家康を放ったらかしにして、松尾山の麓で陣を張る大谷善継の救出と秀秋を討つために大垣城を出て関ヶ原に向かっている。その結果として当初の想定と異なりここで家康と戦う羽目になる。冷静沈着と言われた三成とは思えないような判断ミスをしている。

 これについて、秀秋に裏切られたというストレスが脳の扁桃体を刺激し、そのことによって理性を司る前頭前野が抑制されたために冷静な判断が出来なくなったのではとしている・・・のだが、要は頭に血が上って正常な判断力をなくしていたということか。なお恋人などに裏切られるストレスは、肉体的な痛みに匹敵するだけのストレスを脳に与えるのだとか。

 そして戦いに臨む西軍の将兵にも深刻な事態が発生していた可能性がという。西軍の将兵は前夜の移動から合戦の準備までずっと活動をしている。また堀文書によると合戦の始まったのは午前10時とのことで、その頃になると西軍の将兵は体内に蓄えられている糖分が尽きて、低血糖状態になっていたのではという。低血糖状態から激しい運動をすると、ハンガーノックと言ってガス欠になった体が突然にガクリと力が抜けて意識を失うことさえある症状が出るという。そのために短期に合戦が決着してしまったのではとの分析・・・なのだが、当時の兵士は常に携帯食料を持参していたし、合戦の時間から考えてその間に全く食料を摂っていないという仮定は正しいんだろうか? 移動の後だし、普通は腹ごしらえをすると思うのだが。それに堀文書を取り上げるのだったら、以前の歴史科学捜査班で言っていた「合戦当初から小早川秀秋が裏切ったので挟撃を受けた西軍は短時間で崩れた」という話になると思うのですが・・・。この番組でも三成は秀秋を討ちに行っていたぐらいですから、秀秋の裏切りが想定外ではないと言うことだし。何か説明がどことなく一貫性がない。

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 西軍の病というから、大谷善継のハンセン病が出てくるかと思っていたのですが、それは諸々の問題があるのかスルーでした。小早川秀秋のアルコール依存症は昔から結構言われている話ではありますが、三成に関しては病気と言うよりもただ単に頭に血が上って判断を誤ったという話だけだし、将兵の低血糖に至ってはウーン・・・。観点としては面白いのですが、私としては今回の分析にはいささか同意しかねる点が多々あります。


忙しい方のための今回の要点

・小早川秀秋はアルコール依存症からくる肝硬変にかかっており、肝性脳症のために最早まともな判断力がなかった可能性がある。
・石田三成は小早川秀秋に裏切られたストレスによる脳機能の低下で、理性的な判断が出来なかった。
・西軍将兵は合戦開始の時間が遅かったために低血糖になっていた可能性が。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・まだ7歳なのに接待となると酒席となるとは、この時代は結構大変だ。
・松尾山には結構しっかりした城の構えの痕跡が残っているようなので、また山城訪問の一環で訪ねてみるか・・・。
・裏切られたストレスには大泣きするのが良いとか(ストレスホルモンが涙と共に排出されるそうな)。一般に女性の方が失恋しても「次や、次」となるのはこのせいかも。