教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/16 テレ東系 ガイアの夜明け「コロナ崩壊を防ぐ人たち 必要なものをいま届けます!」

 新型コロナの流行で医療の現場はギリギリの戦いをしている。そんな医療現場を支えるための試みを紹介。

医療関係者の宿泊用のキャンピングカー提供

 まずある病院の駐車場。診察を終えた医師が入っていくのが牽引タイプのキャンピングトレーラー。家族への感染を警戒して自宅に戻れない医師がここで夜に眠るのだという。以前は病院内のあちこちでまさに死屍累々だったらしいが、そんな環境では疲れが取れないということで導入したという。スペイン製で220万円するそうだが、キッチンからエアコンまで装備してあり快適に暮らせる。キャンピングカーのシェアリングサービスを提供する会社が用意、車内を殺菌する装置をデンソーが提供、さらに小田急電鉄が車内に配備する菓子や飲料を支援したという。

 

とうとう病院がマスクの製造を始めた

 さらに医療現場で不足しているものがマスク。医療現場で使用されるのはN95と呼ばれる高機能マスク。これが世界中で争奪戦になり、大阪の国立循環器病研究センターでもマスクは使い回しになってしまった。1ヶ月ぐらい同じマスクを使っているとのことで、そうなると端はよれてくるし、ゴムは伸びてくるしということで、気密性が保てなくなってきてマスクの有効性が怪しくなってしまう。「鉄砲を撃ってくる敵の前に軽装で戦いを挑むようなもの」と絶望的な戦場にたとえる医師も。

 この事態にとうとう病院内で医療用マスクを作ろうという動きが出てきたという。この特命を受けたのが西村邦宏医師。まずダイキンにクリーンルーム用のフィルタを分けてもらい、これを使ってマスクを作るのに白羽の矢を立てたのがベンチャー企業のクロスエフェクト。医療関係の樹脂製品などを手がけてきた会社であるという。クロスエフェクトでは樹脂製品の製造技術を利用し、まずはマスクの試作品を作り上げた。ガスマスクのような形状でフィルタを交換できるようになっている。しかしいざこれを量産と考えていたところで性能テストでつまずく。息が出来なくて苦しいというのである。技術者達が対策を考えた結果、フィルタ部分を籠状にすることでフィルタ面積を増やして解決する。当初想定よりもややゴツいマスクになってしまったが、現場の医師に試用してもらったところ意外に邪魔にならないという評価。これからN95マスクの代わりに使用することになるという。

 

人工呼吸器の製造を始めたメーカー

 不足が予想された人工呼吸器の製造に乗り出したメーカーもあった。さいたまの三幸製作所。アメリカの医療崩壊で人工呼吸器が不足しているのを見て、今から取り組まないと手遅れになる可能性があると、もしかしたら無駄になるかもしれないのを覚悟で人工呼吸器の製造に取り組むことになった。元々麻酔用の呼吸器は製造していたので、それの仕様を変更して人工呼吸器を製作することに。この作業のために定年になっていた熟練作業員が復帰し、若い社員を指導しながら20台の人工呼吸器を5月中旬に作り上げる。しかしその頃にはコロナの感染者が減少し始めて出荷の予定はなくなったとか・・・。

そしてキッチンカーも出動

 最後は医療関係者に温かい食料を無料で届けているキッチンカー。これはこの番組に以前に登場したメロウがトヨタをスポンサーにして始めたこととか。温かいご飯が食べられることが医療関係者に好評であるとのこと。

tv.ksagi.work


 医療関係者を支援するための各地の取り組みを紹介。とにかく医療用マスクや防護服というのは必要装備なのでそういうのを調達するのは政治の仕事なんですが、この国は逆に医療現場の予算をカットして、使い物にならない雨合羽を押し付けてそれを美談に仕立てようとする無能市長なんかが偉そうにする国であるから絶望的である。結局は政府が無能すぎるので、いつも民間の行動の方が先に立つ。すると今度は大臣が「コロナ支援をクラウドファンディング」なんて国の責任を放棄するようなことを平気で言い出すし。この国の体制は危機管理以前(自分達の利権の確保は徹底するくせに)。挙げ句に医療関係者に感謝の拍手を小学生に強制するようなアホな精神主義まで出てきたりと、今回のコロナはつくづくこの国の駄目な部分をあぶり出す効果もあった。

 

忙しい方のための今回の要点

・自宅に帰られない医療関係者のためにキャンピングトレーラーを寝室として提供する取り組みが行われている。
・また国立循環器病研究センターではN95マスクが不足しているために、ついに自らマスクの製造に取り組むこととなった。
・医療機器製造メーカーの三幸製作所では、急遽人工呼吸器の製造に取り組み、20台を製造した。
・キッチンカーのメロウではトヨタをスポンサーにして、医療関係者に温かいご飯を無料で提供するサービスを開始している。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・国が動いても結局は予算を電通に中抜きさせて政治家がキックバックを受け取るだけなので、極めて効率の悪いことしか行えない。その上に、不織布マスクが出回るようになってからようやく届く不良品ガーゼマスクとか、いつまで経っても届かない10万円とか、とにかく対応が絶望的に遅い。安倍が自らの利権確保だけに躍起になっているうちに、国中が滅茶苦茶になってしまった。

次回のガイアの夜明け

tv.ksagi.work

前回のガイアの夜明け

tv.ksagi.work