居酒屋が死屍累々の中で奮闘している大吉
コロナで居酒屋業界で続々と閉店が相次ぐ中で、堅調に頑張っている焼き鳥チェーンが大吉だという。ここの特徴は駅前に出店しないこと。大抵は住宅街の中に出店しており、10坪ほどの小規模店舗で出店することも特徴である。これらは出店するオーナーの経済的負担を減らす(家賃は10~15万円)という意味と、店主が店内に目配りできる大きさという意味があるという。実際に大吉の店舗を取材してみると、常連客の割合が非常に多い。近所の住民が常連とし定期的にやって来るのだという。だからコロナでも客足が落ちにくい。
今や焼き鳥チェーンで一番となった大吉の本社は大阪の雑居ビルにある。全国640店を抱える大吉だが、本社の人員は何と13名。小規模にしてコストを低減するというのが経営の理念であるらしい。
またチェーン店では多いセントラルキッチン方式を大吉はとっていない。店主が地域の鶏肉店から材料を仕入れて自分で仕込みを行う。このために地域との結びつきも出来、鶏肉店も良い材料を卸してくれる。また店主も自ら加工することで自信を持ってお客に料理を出すことが出来るという。
しかしコロナが長引いて大吉の店舗にも影響は出ていた。各店舗を回って事情を聞いて回っている人物がいるのだが、これが本社の人間かと思えばさにあらず、酒販会社の社員だという。大吉が好調になれば酒も売れて売り上げが上がるということで、酒販会社の社員が無給で協力して店舗の情報を本社に上げているのだとか。こういうネットワークがあるのも大吉の強みだという。
福岡で奮闘する若きオーナーに密着
また大吉は店主の経歴も様々である。大吉の「一国一城の主に」というポスターを見て応募した者が多いという。そんな大吉の中でこの春に福岡に出店した若者がいた。角南風斗氏25才。
店舗は大吉のお約束通り、駅から離れた住宅地の一角。東京でサラリーマンをやっていた角南氏であるが、やはり一国一城の主という言葉に惹かれて、開業資金150万円で大吉から店を借りる形で開業したのだという。店は角南氏と母親の二人で切り盛りしていた。丁寧な接客を心がけて頑張っているが、福岡と縁もゆかりもなかった角南氏はまだ常連が付かずに苦戦していた。特に12月になるとコロナの影響も現れて売り上げは目標の5万円に遥かに届かない日が続いていた。
調理経験のない角南氏であったが、大吉の研修システムで3ヶ月間3店舗で研修をしてみっちり基礎から仕込まれたという。大吉ではオーナー同士の結びつきが強いとのことで、角南氏も先輩オーナーに相談してアドバイスを受ける。またテコ入れで本部長の近藤隆氏と専務の濱野誠氏が店舗を訪れて直に角南氏の仕事ぶりをチェック。その結果、鶏を焼く作業に集中しすぎていて客に目が届いていないという指摘を受ける。
早速、角南氏は母と共に近所にビラ配り。ビラを持参した人にはドリンクをサービスという内容である。とりあえず店に来てもらって常連になってもらおうという考え。ビラの効果は現れてビラを持った客がやって来る。角南氏は客にこまめに目を配っての丁寧な接客。その内にリピーターも出て来て常連がつき始めた。
しかし日本各地に緊急事態宣言が出て、まさに今日、福岡にも緊急事態宣言。果たして角南氏の店はどうなるか?
と言うわけで大吉の紹介なんだが、事態が急変しすぎていて番組でも追い切れていない感がある。福岡はとうとう緊急事態宣言になったので、さあ角南氏はどうする?って話なんだが、そこまではまだ分からない。無事に生き延びられれば良いが。
そう言えば以前の企業買収の話で登場したタピオカ店を買収したフリーターカップルはその後どうなったんだろうか? レンタルブライダル衣装をやっていた女性と、学習塾をしてた男性はあまり心配ないんだが、彼らだけはその後が非常に心配だ(番組スタッフも本音では「やばいんじゃないかな、こいつら」ってのが思いっきり滲んでいたし)。
忙しい方のための今回の要点
・コロナの影響で居酒屋の閉店が相次ぐ中、焼き鳥チェーン第一位の大吉が検討している。
・大吉は全国に640店を抱えるが、本社は13名と省力システム。また店舗も駅前から遠い住宅地の中に10坪ほどの小規模店舗という独特の戦術をとっている。
・そのために店長の目が客に届きやすく、さらにはオーナーの出店のコストが低減できるというメリットがある。
・セントラルキッチン方式が中心となっているチェーンの中で、大吉は店内調理であり、オーナーは3ヶ月の研修を受けて鍛えられる。
・番組ではこの春に福岡で新店舗をオープンした若者が、売り上げが思うように伸びない中で苦闘する姿に密着している。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・現在の感染爆発はかなりひどい状況になってますので、ハッキリ言って大吉にも今後は影響が出てくるでしょう。今回登場した若者も生き残れるかどうか。頑張って欲しいところですが。
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