教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

4/16 テレ東系 ガイアの夜明け「電車が変わる 駅が変わる!」

非鉄道部門を強化するJR東日本

 コロナの影響は鉄道会社の収益を大きく毀損しており、JR東日本では4500億円もの赤字となっていると言う。開業当初は大いに賑わって、昨年のこの番組でも華々しく取り上げたグランスタ東京も今は閑散としている。

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 そこで建て直しを目指したJR東日本では、新幹線で商品を仙台に輸送を行ってグランスタ東京の仙台への出店を行うという試みに挑戦した。東京という看板を掲げると、確かに地方ではそれなりの効果はあるだろうという読みもある。

 実際に仙台では大行列が出来て予想を上回る盛況となったという。フルーツを丸ごと使ったサンドイッチがバカ売れだが、本来は仙台の銘菓だった「萩の月」の東京駅限定版の「萩の調 煌」の逆輸入というおかしな状況も。 

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駅ビルで行う実験店舗 

 JR東の深澤祐二社長によると、現在はコストカットと固有事業の売却を進めているという。さらにコロナ終息後も鉄道需要は元には戻らないと考え、鉄道によらないビジネスを検討中であるという。

 そのような非鉄道事業は駅ビルなどを起点にして行われている。新大久保の駅ビル内に設けた実験店舗は、事前に設備を用意してあって開業希望者は身一つで開業できるようになっている。ここでは新たな創作料理などに挑む人々が。恐らくその中から上手く行きそうなビジネスがあったら、将来的には駅ビル内での出店を考えてもらうのだろう。また食関係の仕事をしている人のためのコワーキングスペースも用意してあり、そこはキッチン付きのシェアオフィスとなっているので、実際に調理をしながらの議論なども出来るようにしているとか。

 

沿線丸ごとホテルという企画

 新たな沿線ビジネスに乗り出したのが、青梅線の白丸駅。奥多摩の利用客の少ない駅でクマも出るという。ここで取り組んでいるのが沿線丸ごとホテル。駅がそのままホテルのフロントになり、客室は近くの空き家を使って、地域住民が接客や運営をするのだそうな。

 この事業はJR八王子の非鉄道部門が手がけている。プロジェクトリーダーは非鉄道部門一筋という会田均氏が担当。地元のシェフを起用して、沿線の食材を使った料理を目玉に考えている。青梅線沿線ではキウイに無農薬レモンなど意外と知られていない名産が多い。目玉は生産農家が既に4軒になってしまったという東京シャモ。試食会には地元酒蔵の主人も参加して、料理に合う日本酒を吟味

 このプロジェクトは2月18日にスタートした。番組が密着した最初の客は海外旅行慣れした女性二人。コロナで海外に行けないからとのことで、いかにもそういう雰囲気の二人である。彼女たちは地元の水源などに立ち寄ってから、築150年の農家を改修した宿泊施設に到着する。この施設は地域おこしベンチャーの「さとゆめ」が手がけた。ゆったりとスペースであり、コロナの時世下でも安心して宿泊できる。彼女たちはシェフが手がけた料理を堪能してゆったりとした時を過ごす。

 会田氏はさらに客室を増やすために空き家を探している。今回見つけた物件は築100年ほど経つ建物。これをリニューアルして客室にすることを考えている。この建物の売りは裏手にここからしか行けないプライベート滝付き。持ち主の息子が偶然にもJR勤務と言うことで前向きに考えてくれるとのこと。

 

 非鉄道ビジネスに力を入れるJR東日本のお話。そもそもコロナ以前からJR東日本は収益性の高い都心一円の近郊路線以外からはすべて撤退したがっているのは周知の事実で、それに拍車がかかっただけの話です。これでローカル線の切り捨てが一段と促進され、地方の荒廃が進んでいく可能性が懸念されます。

 目下のところ観光の目玉として使えるのはいわゆる「なんちゃって田舎暮らし」。本格的な田舎暮らしは都会人には不便さなどからとても無理なんで、なんちゃって田舎暮らしで、田舎風の環境を体験してもらおうというのが流行の一つにはなっている。もっともこれは単に田舎を消費しているだけなので、本格的に地方を振興するには都会から田舎へ人口が移るところまで行く必要があるのだが、その辺りは企業ではなく政府が取るべき施策である。

 まあ東方辺りでは未だに「東京」という名のブランド力はあるんだなとよく分かった。私などは「東京」と聞いても「ふーん、つまりは高くてマズいだけか」という認識なんだが、一般の認識はそうではないんだろう(笑)。しかし萩の月の逆輸入とまでなったら、笑えるような笑えないような。そう言えば知らない間に博多名物だった「ひよこ」が東京土産の定番にされてしまって、当の博多駅では「ひよこは博多の名産です」と店頭に掲げる羽目に陥っているなんてこともあったな。まあ「萩の月」は私も仙台を訪問したら絶対に購入する定番中の定番の土産物だが。

     
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忙しい方のための今回の要点

・コロナの影響で本業が大赤字のJR東日本では非鉄道事業に力を入れている。
・駅ビルを起点として、新大久保では飲食店の実験店舗などを展開して、新ビジネスのチャンスを調べている。
・また青梅線の白丸駅では「沿線まるごとホテル」と銘打って、地元の空き家を改装して宿舎として、沿線の食材を使った料理などでもてなすプロジェクトを開始している。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・そもそも鉄道会社とは、鉄道の収益ではなく、沿線開発による不動産事業など非鉄道部門の収益の方が大きくなるという構造はありました。国鉄もJRになってその流れに沿っているということではあります。もっともそのせいで、本業の方を捨てたがるという傾向が顕著になってきてますが。
・ただ地方の公共交通網については、今後は民間で行っていくのは困難かもしれないという気はします。社会的インフラとして税金で支えるしかなくなっていくでしょう。もっともその落としどころをどこに持っていくかは議論のあるところで難しいですが。
・というわけで、無人運転技術なんかもその観点から注目されていたりします。

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