教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

2/1 NHK 歴史探偵「幕末へGO!外国人と戊辰戦争」

幕末に影響を与えた外国人

 今回は戊辰戦争の影で関与していた外国人について・・・ってことなんだが、明らかにヒストリア辺りで以前に放送した内容2本を1本にまとめて、佐藤二朗の無駄話を加えただけのお手軽企画である。

 

 ブリュネについては以前にヒストリアで詳細に放送済み

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幕府軍近代化に貢献したフランス人軍事顧問団

 最初に登場するのは幕末に幕府軍を近代化するために招かれたフランス人軍事顧問団の話。指揮をするのは副団長のジュール・ブリュネ。当時の幕府軍は士族出身者によって編成されていたが、日本の武士は近代軍隊に不可欠の整然とした集団行動が非常に不得手であった。そこで彼らは幕府軍を一から指導し直して近代軍隊である伝習隊を鍛え上げる。こうして鍛えられた伝習隊が真価を発揮したのは江戸の薩摩屋敷に対する攻撃時。ブリュネの作戦通りに整然と行動した伝習隊は見事にこの作戦を成功させる。

 しかしやがて鳥羽伏見の戦いの後、慶喜は新政府に対して恭順の意を示して江戸城開城となる。幕府軍の残党は奥羽越列藩同盟と協力するべく北に向かう。この時にブリュネは本国からの指示に反して彼らと同行する。

 結局はそのまま五稜郭にまで同行、開陽丸沈没の危機に、新政府軍の新造艦甲鉄を奪取する作戦を立てるがこれに失敗、この時点で万策尽きてブリュネは離脱する。その後、五稜郭は新政府軍の猛攻の前に陥落する。

 

 

会津の将軍と呼ばれた武器商人

 もう一人は会津に協力した「会津の将軍」と言われたのハインリッヒ・シュネル。ドイツ出身で元々は公使館の通訳だったらしいが、弟で武器商人のエドワルド・シュネルを通じて新型のエンフィールド銃などを東北諸藩に販売していたという。また彼らを通じてガトリング砲などまで導入されたという。当時はアメリカの南北戦争が終結した直後で、不要となった武器が大量に余っており、これらを日本に売却したのだという。

 しかし新政府軍の大軍派遣で奥羽越列藩同盟軍が追い込まれる中、シュネルは「援軍を呼びに行く」として容保の元を去ったまま帰ってくることはなかったという。


 以上、日本の幕末に影響を与えた外国人について・・・なんだが、中身が薄いよな。「ヒストリア」ではブリュネのことだけで番組1本作ったんだから、当然のようにそれに比べるとダイジェストになってしまうのは致し方のないところ。こういう辺りがこの番組が「イマイチ」としか思えない理由である。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・幕末に幕府軍近代化のためにフランス人軍事顧問団が派遣された。副団長のブリュレは団体行動が苦手の幕府軍を近代軍隊に鍛え上げる。
・こうして鍛えられた伝習隊は江戸薩摩藩邸攻撃で活躍するが、江戸城明け渡しになると幕府軍残党と共に東北へと移動、ブリュレも本国の指示に反してこれに同行する。
・ブリュレは五稜郭で甲鉄奪取作戦を立てるが作戦は失敗、ここで万策尽きて離脱する。その後に五稜郭は新政府軍の猛攻の前に陥落する。
・会津では「会津の将軍」と呼ばれたハインリッヒ・シュネルが東北諸藩に武器を売却して影響力を増していた。しかし彼は新政府軍の攻撃の際に「援軍を呼びに行く」と会津を発つとそのまま帰ってこなかった。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・うーん、ブリュネはさすがにラストサムライのモデルと言われるだけのものがあるが、シュネルについては単なる死の商人で最後は逃走したという人物で、あまり格好良くは思わんな。何かその辺りも今回の内容が冴えない一因でもある。

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