教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

11/15 NHK 歴史探偵「VR関ヶ原 西軍・幻の大作戦」

実際は今回の大河の宣伝企画です

 失敗大河の最後の追い込みで、大河関連企画ばっかり打ち出しているこの番組ですが、今回も関ヶ原ネタと言うことで、明らかに大河絡み。そして今回はこの番組が売りにしているVRを出してきている。

 前半は関ヶ原の合戦をVRで再現するというもので、まあこれはなかなか気合いが入っている。まずは鉄砲隊が打ち合いをしてから長槍隊が突入、最後に騎馬隊が突進して敵を蹴散らすという合戦の模様をVRで再現して、例によって千田氏がキャッキャと大興奮するという展開なんだが、正直なところこっちとしては「だから何なんだ」ってのが本音。まあ確かにVRは結構良く出来ていて、大河のあのショボい関ヶ原合戦シーンより、こっち使った方が良かったのでは(どうせ最初から映像がゲーム感満載の作品だったし)というところ。

 で、さすがにこれだけだとあまりに中身がないので、後半は最近に千田氏とNHKで大発見と大騒ぎしている玉城の話。要は玉城が西の奥にある極めて巨大な城であり、そもそもはそこに秀頼に出陣してもらうという作戦が西軍にあったというもの。玉城は関ヶ原の戦場からもよく見えるので、恐らくそこに豊臣家の旗印が鎮座したら、福島正則らの豊臣恩顧の大名はまず戦闘が不可能だったろうと思われるので、恐らく関ヶ原の合戦の結果は変わっていただろうという話である。

 

 

で、改めて小早川の話が登場

 後は松尾山の小早川秀秋の話で、これは先に「英雄たちの選択」でも出ていたように、小早川秀秋は明らかに関ヶ原に攻め込むべく松尾山城を加工しているという話。そして大谷義継は小早川秀秋が東軍についたことを知っていたので、明らかに小早川軍を抑えるために南側を向いた布陣をしており、陣地もそのように建造してある。さらに小早川軍を封じるラインの東端には脇坂安治がいて、その陣地も深い堀切を築くなど、小早川軍に対峙するようになっており、大谷軍と脇坂軍の間にはライン上に西軍の武将を配していた。

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 合戦の序盤ではこの小早川ロックが機能して小早川軍は動かなかったのであるが、小早川軍が動き始めたときに、元々東軍に通じていた脇坂安治が寝返り、連鎖的に他の武将達も寝返ったことで大谷軍は集中攻撃を受けることになって崩壊、大谷義継は自刃に追い込まれて、これが西軍の全面崩壊につながったというお話。この辺りは今更改めて説明されるまでもないところ。


 以上、あからさまな大河連携企画の続きでした。で、今度は12月に大坂の陣のVRをするということなので、あくまでこの番組は最後まで大河の宣伝で突っ走る模様。おかげでドンドンと中身がなくなっていく。何か失敗大河の道連れになりそうな気配。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・関ヶ原の戦場をVRで再現。
・後半は最近に発見された玉城の跡から見る西軍の戦略構想。玉城にもし秀頼が参陣していたら戦いの結果は逆転しただろうと推測している。
・赤色立体地図で見た大谷義継の陣は南に備えているが、それは東軍についた小早川秀秋を抑えるためのものだった。大谷義継は脇坂安治との陣の間に西軍武将を配して小早川軍を封じようとしたが、脇坂安治が寝返ったために防衛戦が崩壊、それが西軍の全軍崩壊に結びついた。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・VRがなかなかよく出来ているなという意外は新知見皆無でした。本当に大河の宣伝しか考えてないな、最近のこの番組は。

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