教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

10/10 NHK あしたが変わるトリセツショー「高血圧対策の新常識★楽しい驚きのお得ワザSP」

楽に出来る高血圧対策

 今回は「楽しくてはまる」高血圧対策を紹介するとか。とは言え、高血圧対策の基本は減塩と運動。この食材だけ摂れば運動も減塩も不要なんて言うのはまるで「発掘あるある大事典」なので、そういういかがわしいものではなさそう。要はなるべく負担に感じない方法でこれらを実現しようと言うことらしい。

高血圧は日本人の国民病でもある

 まず高血圧の定義であるが、上が140mmHg以上または下が90mmHg以上というもので、日本人の3割が該当するという。ただ今回注目すのは上が120~139または下が80~89という予備軍。日本人の約4割が該当だが、この時点で心臓病リスクは2.1倍、脳卒中リスクは1.5倍になるという。この層に減塩と運動をお勧めなんだとか。

 

 

増やす減塩

 まず減塩についてだが、そもそも塩の摂りすぎがいけない理由であるが、これは浸透圧の関係で血中の塩分濃度が増加すると、体内の水分が血管中にしみ出てきて血圧が上がることになるという理由。番組ではこれをチューブを使った簡単な実験で感覚的に見せている。で、WHOの推奨基準が1日に5グラム未満なんだが、お塩大好きの日本人は10.1グラムも摂ってしまっている。塩分を減らす試みとして、この番組(でなくてガッテンの時か?)でもかつてスプレー醤油を勧めたこともある。

 そして今回のお勧めは減塩なのに増やすと謳っている。番組は餃子の新名所浜松に飛ぶ(宇都宮はとうとう3位に転落してしまったらしい)。無人販売店で定点観察しているが、高血圧対策として餃子を買い求める客が続々。で、彼らが買い求めている餃子がミソ。それは旨塩餃子と名乗っている餃子。実は味はしっかり付いているんだが、蓮根や人参を使って具材を野菜に変えて肉をなくしたのがポイントだとか。塩を減らすのでなく野菜を増やすのだという。野菜を摂ることで高血圧のリスクが下がるのだという(ただし減塩が前提という注釈付き)。

 ポイントは「なとかりひ」。もうこの時点ですぐに分かるが要は「ナトリウムカリウム比」のこと。尿中のこの値を調べるのだという。カリウムを摂れればこの数字が下がるのであり、これを健康推進の方策として取り入れている登米市では4以下だと良好だと定めている。この比が低いほど血圧が下がり、野菜にはカリウムが多いと言う話。つまり減塩だけでなく野菜を増やせば血圧が下がるということ(ただしやはり減塩が前提)。なおカリウムが血圧を下げる理由だが、余分なナトリウムは腎臓で排出されるのだが、カリウムが不足したら腎臓でカリウムの回収を増やす時にナトリウムの回収も増やしてしまうからだとか。要はカリウムが十分なら、カリウムと共にナトリウムも排出されるということ。で、カリウム摂取量の目安は1日3500mgだが、日本人の実態は1200mg不足とのこと。

 

 

カリウム増量メニューと注意点

 この後はお約束のカリウム増量メニューになる。野菜を増やすのがポイントだが、鶏胸肉などの脂の少ない肉もカリウムを含むという。また豆乳やさつまいもなどとも効果的とのこと。で、この番組らしいのは例によってのカードを作成している。これはHPなどを見に行ったらデータがあるんだろう。で、血圧高めの被験者10人にカリウム増量生活をしてもらったところ、8人が血圧低下して、しかも被験者が皆「楽しい」と言っているということで目出度し目出度しである。

 カリウム増量スムージーなども紹介しているが、ここでサラッと触れているのが「腎臓が悪い人は要注意」ということ。カリウムを増やすのは腎臓病患者には負担がかかるので、むしろ彼らにはカリウムは禁忌。というわけで生野菜は御法度になっているので、該当者は注意。というわけなので、糖尿病で腎臓を悪くした患者が高血圧になったら人生それで詰むってこと(徹底的にカロリーとナトリウムを減らすしかないので、まさに味気のない余生が待っています)。

 

 

お手軽な運動療法

 最後は運動であるが、ジョギングやウォーキングなどと言うとハードルが高くて続かない(私も何度も頓挫している組)。そこで勧めるのがジャンプだという。床から3~4センチ程度のジャンプで良いので、これを1日に100回ほどという。ジャンプは筋肉トレーニングよりも効果があるとしている。とは言うものの、ひざや腰に負担がかかるのでそちらに不安がある人は無理するなとのこと。ひざに不安がある人にはアイソメトリック運動なるものを推奨している。これは関節を動かさずに力を入れた状態を一定時間保つものだという。力を抜いて筋肉が緩む時に血圧が下がるのだという。壁に背を当てて椅子に座るような感じで中腰になる姿勢を2分×4回の1セットを週3セットで血圧が低下。有酸素運動の2倍の効果があったという。しかし2分は意外としんどく、そのまま腰が落ちてケガをする人も出かねないので、番組推奨は椅子を置いて、それにギリギリお尻が載らないところまで腰を落とすというもの。これを3回1セットで1日3セットとしている(最初に言っていたアイソメトリックでなくてスクワットになっている)。

毎日のジョギングとかは、流石に大抵の人にはハードル高すぎ

 以上、血圧降下のための方策。まあ運動に関しては忙しい人でもこのぐらいは隙間で出来そうなので実践あるのみ。ちなみに私は100回ジャンプをやってみたところ、60回で息が切れました。思いの外に太ももなどに負荷がある。それにしてもコロナのお籠もりと老化で恐ろしいほどに足腰が弱っていることを痛感。

 なおあくまで軽めの対策であるので、やはり予備軍が本格的な高血圧になるのを防ぐってところが主眼の模様。本格的に高血圧になってしまうと、この程度だと焼け石に水で、流石に薬などの対策が必要になると推測される。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・高血圧の対策と言えば減塩と運動だが、どちらも続けるにはハードルが高い。そこで高血圧予備軍の方に向けて継続しやすい方法を紹介。
・まず減塩については、塩を減らすと言うよりも野菜などを摂ることでカリウムを増やすことでナトリウムの排出を促す方法を考える。番組では推奨メニューなども紹介。
・また運動に関してはジョギングやウォーキングは時間もかかってハードルが高いことから、1日100回のジャンプを推奨。なおひざに不安がある人のためには椅子を使ったスクワットを推奨。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・とりあえず野菜を食べることは身体に良いはずですし、どんな運動でもしないよりはマシでしょうから、効果のほどは明らかではないですが悪いはずはないです。

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