火山が生んだ奇岩の森
トルコの高原地帯に謎の奇岩が林立する奇妙な風景が続く。これがカッパドキアである。奇岩はその形態からキノコ岩と言われている(どうも地方の神社などにある卑猥な御神体のようにも見えるのだが)。
この辺りの大地は火山灰が固まった凝灰岩で出来ている。これだけの大地が出来るだけの活発な火山活動がこの地域であったということで、実際に火山噴火の跡のクレーターも多数見られている。
キノコ岩の生成メカニズムであるが、キノコ岩を見ると、先端部の岩の色が違うことが分かる。かつてはここは硬い玄武岩だと思われていたのだが、最近の研究の結果によってこちらも凝灰岩であることが分かったという。ただこちらの凝灰岩は湿地の水の中などに大量の火山灰が流れ込み、その時にシリカが溶出して固くなったものであると考えられるという。先端部分の岩の方が固いために、下の岩が浸食を受け、今のような奇妙な形になったのだという。
奇岩の森に住居を作ったキリスト教徒達
またこの地域には岩をくりぬいた高層建築が見られる。この地には3世紀頃にローマの迫害から逃れたキリスト教徒達が移り住んできたのだという。凝灰岩は簡単な道具で容易に穴を開けることが出来ることから、この地域の岩をくりぬいて住居を作ったのだという。また巨岩の上の穴は要塞にもなり、さらにはあちこちに修道士達が礼拝所を作ったという。
さらに20世紀になって深さ70メートルもの地下都市のネットワークも発見された。ここはローマからの攻撃や、後にはアラブ人からの攻撃から逃れるための非常用シェルターだったと考えられ、1万人が数日暮らすことが出来たとのこと。
カッパドキアはその特殊な自然地形と独特の文化の遺跡から世界遺産に認定された。
忙しい方のための今回の要点
・カッパドキアにはキノコ岩と呼ばれる奇岩が林立している。
・この奇岩は火山灰が積もった凝灰岩で出来ており、この地域ではかつて火山活動が活発であった。
・キノコ岩の先頭の岩は火山灰が水中に積もってシリカが溶出して硬くなった凝灰岩であり、上の方が固いために浸食で現在の形になった。
・この地には3世紀頃にキリスト教徒達が移り住み、岩をくりぬいた住居や礼拝堂などを作り、さらにはローマ人やアラブ人の攻撃から逃れるための地下シェルターも建造した。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・名前は聞いたことがありますが(そう言えば、静岡に「河童土器屋」という名の海鮮丼の店があったな・・・)、実は見たのは初めてです。あんな変な岩が林立している不思議空間だったとは初めて知りました。
・しかし私の目にはどうもキノコと言うよりは「御神体」に見えてしまいます。特に私がエロい人間ということはないと思いますが(笑)。
・ああいう地底都市って、何となく「秘密基地」という雰囲気があって、なぜか心惹かれてしまうんですよね。男は昔から秘密基地という言葉には惹かれるものです(笑)。
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