生命誕生に謎に迫るってのは良いけれど、なぜか今回は小学生を交えて「ぼくのかんがえたさいしょのせいめい」って企画。まあ宇宙夜話のシリーズはそもそも単なる与太話が大半ですが。実際に以前にはあまりにも与太話がひどすぎて、途中で馬鹿らしくなって見るのをやめた回もありました。そのことを思えば今回はまあまともに科学番組をしているか。
生命の起源は海底?温泉?
まず生命誕生には何が必要だと思うかという専門家からの質問に「水とタンパク質?」と答えるコジルリ。これって台本あるんでしょうか? もし台本ないんなら彼女鋭すぎるんですが。なお多分私だったら「水と炭素とエネルギー」と答えるだろうな。
この後は小学生の考えた最初の生物が出てくるが、これはどうでも良い(笑)。やけに科学オタクっぽい少年が一人いたが、彼はもしかしたら将来の研究者の卵かも。優秀な研究者に育ってもらいたいものです。
で、生物の起源だがここで紹介されるのは、まずは海洋研究開発機構の高井研氏の考え。彼は生命の起源は海中の熱水鉱床にあると考えている。チムニーの中の小さな穴(直径1ミリにも満たない蜂の巣のような穴らしい)にここに生命の材料となる物質が溜まって油滴のような生命が誕生したのではないかとのこと。
次は東京薬科大学の山岸明彦氏。彼は生命は温泉で生まれたと考えている。温泉の小さな水たまりが濃縮し、その中でまず遺伝子が生まれ、そらに遺伝子を複製する装置がそれに加わって単純な生命がまず生まれたという考え。
生命の起源が宇宙にあるという考え
一方、生命は宇宙で生まれたという説もある。カリフォルニア工科大学のジョセフ・カーシュビンク氏が唱えるのは生命の起源は火星にあるという説。かつての火星は豊かな海に覆われていたので、そこで生まれた生命が地球に飛来した(隕石の衝突などが起これば、火星の重力は地球より小さいので、容易に岩石が宇宙に飛び出す)というものらしい。ただこの説は「地球で起こるべきことをあえて火星に持っていく理由は?」という疑問があるのだが、これについては生命誕生に適した環境が火星の方が地球よりも早く整ったからだという・・・のだが、それだったらやっぱり地球上でも良いし、そっちの方がリーズナブルなのでは?
なお最近の研究からは、宇宙には生命の元になるアミノ酸が大量に存在するという説が最近出てきているらしい。宇宙にある微少な塵に炭素・窒素・酸素・水素などの原子が吸着し、狭い表面上で互いに引っ付いているうちにアミノ酸が容易に生成するとのこと。実際に隕石からアミノ酸が検出される例もあるという。これが本当だとすれば、生命の種が隕石と共に地球に持ち込まれたという説が有力となる。なおはやぶさ2の調査では小惑星がアミノ酸を持っているかということの探査も期待されているので、見事にサンプルリターンに成功し、持ち帰ったサンプルにアミノ酸が含まれていたということになれば、宇宙はアミノ酸だらけという可能性が出てくるとのこと。
なお太陽系内で生命存在の可能性が高いとして注目されているのが土星の衛星のエンケラドス。この惑星の氷の下には液体の水が存在することが探査の結果判明したことから、この中で生命が誕生しているのではと考えられているという。同様の水の存在はエウロパにもあり、これらの熱エネルギーは土星の重力で星が歪んだりすることによるものだという。
以上、生命の起源について。まあ小学生企画なので特別に珍しい話はありませんでしたね。温泉に浸かると生き返りますが、はたしてその温泉が生命を生みだしたのか?
忙しい方のための今回の要点
・生命の起源については、海底の熱水鉱床のチムニーの中で生まれたとか、地上の温泉の中で生まれたなどの説がある。
・また火星で生まれた生命の源が地球に飛来したと唱えている学者もいる。
・最近の研究では、宇宙には大量のアミノ酸が存在している可能性もあるという。
・また土星の衛星のエンケラドスやエウロパは氷の下に液体の水があることが分かっており、生命が存在する可能性があると考えられている。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・今回登場した小学生の中から、将来に世界をあっと言わせるような大研究をする研究者が登場したらいいですね。そうなればこの番組も意味があったというところ。今の小学生がバリバリの研究者になる頃と考えると、私も長生きしたら辛うじて彼らがした大研究を知ることが出来るかもしれない。
・とにかく小学生には、ユーチューバーなんて役に立たない職業でなくて、科学者とかをもっと目指して欲しい。
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