教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

11/17 テレ東系 ガイアの夜明け「コロナで変わる町と暮らし」

コロナで越後湯沢のリゾートマンションが注目

 コロナによるリモートワークの増加によって様々な変化が現れている。特に顕著な変化は通勤が必要なくなったことによって地方に移住する人が増えたこと。

 越後湯沢ではバブルの崩壊で投げ売り状態となっていたリゾートマンションに注目が集まっているという。バブル時代の物件なので築後30年ぐらいになってきており、10万円といった投げ売り物件もあるという。

 越後湯沢はこれが人口減少に歯止めをかけて移住者を受け入れるチャンスと考えている。古いリゾートマンションをリノベーションしてリモートワークの人を迎え入れている。ネット環境は整備されており落ち着いた環境で仕事に励み、仕事が終わるとマンションにある掛け流しの温泉で入浴。狭い東京では考えられないような生活である。すっかりここが気に入って移住を考える人も出ているという。

 

瀬戸内のハワイ・周防大島に移住する人たち

 移住先として注目されているのが周防大島。瀬戸内のハワイと呼ばれる1万5千人が暮らす島である。ここでは移住を考える人が訪れる。

 この移住の仕掛け人がロコネクトの泉谷勝敏氏。13年前に大阪から周防大島に移り住んだという。彼は周防大島から委託を受けて、移住を考えている人に島を紹介するツアーを企画している。決して観光コースではなく、島の良い面も悪い面も全てを見てもらうという。そのことが参加者の信頼を得ているという。3年で225人のツアー参加者のうちの3割以上が移住しているという。

 また一人の移住希望者がやって来た。大阪の製薬会社の研究員だった尾崎祥久氏。彼は島に移住して農業をやりたいのだという。泉谷氏は彼を空き家に案内すると、その夜に案内したのはフラダンスのイベント。周防大島高校のフラガールチームなどのショーがあったのだという。夢見気分であるが、泉谷氏は「明日から現実を見てもらうから」とのこと。かつては証券会社のトップ営業マンだった泉谷氏だが、プレッシャーが強くて数字がすべての世界に身体を壊してここに移り住んできたのだという。

 その泉谷氏は尾崎氏を島に移住して農業を行っている先輩に引き合わせる。農業が決して簡単でも楽でもないことを知ってもらうということが目的だという。実際に今はぶどう農家をやっているその人物も、移住したから5年はまともに売れるぶどうが作れなかったという。今でも家族の生活で精一杯だが、いずれは観光農園を開きたいと考えているとのこと。

 農業の厳しさを知って自身の決意のほどを確認するかのような尾崎氏であったが、移住に対して前向きに考えているようである。島の人も彼のような人物は大歓迎だという。

 

 リモートワークの関係で地方移住という話は聞いているが、これが東京の過密と地方の過疎の解消につながれば怪我の功名と言うところである。もっともリモートワークが可能な仕事と不可能な仕事の差が問題ともなりつつあり、これが今後新しい生活格差につながりそうな気配がある。ちなみに私の職場もリモートでは全く仕事にならない分野なので、通勤を余儀なくされるから都会から離れるわけにはいかない。

 一方の周防大島はリモートワークと言うよりは、前職を辞めてここに移住というパターンが多いようである。移住者を見ていると、泉谷氏は証券会社のセールスマン、最初に出て来た女性は不動産会社勤務、尾崎氏は製薬メーカーの研究員といずれも激務の人たちばかり。日々の激務で磨り減っているうちに嫌気がさしたのだろうことは容易に推測が付く。このような非人間的な職場からは逃げ出したくなるのはある種の自衛本能で当然とも言える。ただ、今の日本で農業で生計を立てるのは実際にかなり大変であるから、甘く考えると痛い目に遭う。それにしても泉谷氏を見ていると、有能な人間はどこで何をやっても有能だなと感心する。

 

忙しい方のための今回の要点

・リモートワークの普及で地方移住が増えている。越後湯沢ではバブル崩壊で投げ売り状態となっているリゾートマンションが注目を浴びており、町でも人口回復のきっかけにしようと動いている。
・瀬戸内の周防大島は温暖な気候から日本のハワイと注目される観光スポット。ここに移住しようと考えている人のための体験ツアーが企画されている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・田舎暮らしってのは私も憧れる面はあるのですが、たまに泊まり行くのならともかく、そこに定住となると仕事の問題を抜きにしてもいろいろ問題はあります。特に私は都会暮らしが定着してしまっているので。もっとも昔に比べるとネットで様々調達できるようにはなりましたから、随分と状況は良くなっています。
・ただ私の場合は一番の問題は、地方だと美術館もコンサートもないんですよね。ハッキリ言ってこれが最大のネックです。これだけはリモートってわけにいかないんで。

・昔は地方ではテレビ局も少ないという問題があったんですが、これは今ではよほど山奥でない限りBSは見られますし、ケーブルテレビもありますし、何よりも今は地上波はNHK以外ほとんど見ませんので、この問題は解決してるんですけどね。

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