教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

5/2 TBS系 世界遺産「150年前に誕生!世界初の国立公園イエローストーン」

世界初の国立公園

 今回登場するのは、アメリカで世界最初の国立公園となったイエローストーン。


www.youtube.com

 イエローストーンはロッキー山脈の中でそこだけえぐり取られたような窪地の中にある。ここは大火山地帯であり、標高2300メートルにあるイエローストーン湖を中心としている。ここから流れ出すイエローストーン川は峡谷を刻み、落差94メートルの巨大なロウワー滝を作った。この大峡谷は現地を訪れた探検家を圧倒した。そして1872年に後世に残すべきとして国立公園となった。その命名の元になった黄色い断崖は火山活動の硫黄分によるものである。

 雪を思わせる純白の大地は温泉成分が積もった湯の花の大地である。湯の沸き出し口は1万カ所以上もあり、そこからは熱湯が沸き立っている。また熱湯が定期的に噴き上がる間欠泉も500以上あり、地球上で知られている間欠泉の半数以上を占めるという。これらの熱水減少のパワーは、地球内部から湧き上がってきている高温のマントルだという。これが地表近くに巨大なマグマ溜まりを作り、これが各地で温泉を噴き出させている。熱水は硬い岩を変質させてそれらを泥に変えている。

火山の風景

 イエローストーンのシンボルでもある美しい七色の湖がグランド・プリズマティック・スプリングである。中央の青から周辺の赤茶まで虹のように色の変わるこの温泉の湖の色の秘密は、温度によって棲み分けているバクテリアによるものであるという。バクテリアが作り出す色素によって湖に色が付いたのだという。

 ここから北に70キロ先には世界有数の石灰の段々畑がある。マンモス・ホット・スプリングスは世界最大の石灰岩の棚である。温泉の石灰分が沈殿したものである。

 冬になると辺りは雪と氷で覆われるが、熱水が湧き上がる地帯からは凄まじい湯気が沸き立ち、これららが周囲の木々に付着して樹氷を生成する。またこの地熱地帯は付近の動物たちの格好の餌場であり、67種の哺乳類が棲息する宝庫である。この地の生態系の頂点に立つのはオオカミで、現在は100頭近くいる。かつては害獣として駆除されここでは絶滅したが、その結果として天敵のいなくなったエルクが異常繁殖し、木々の新芽を食い荒らして生態系が破壊されるという問題が発生した。そこで1995年にオオカミ41頭が公園内に放たれたのだという。これが現在100頭近くにまで増えたのだとか。この地で彼らは主にエルクを狩って生きている。


忙しい方のための今回の要点

・アメリカのイエローストーンは世界初の国立公園である。
・高地のイエローストーン湖を中心とするこの地は火山地帯であり、命名の元となった黄色い峡谷は火山の硫黄分によるものである。
・この地の地下には巨大なマグマ溜まりがあり、それが火山活動のエネルギー源となっている。各地で500以上の間欠泉が噴き上がり、世界の間欠泉の半分以上がここにある。
・シンボルである七色の湖は、温度ごとに繁殖するバクテリアが生み出す色素で着色したものである。
・またここには世界最大の石灰岩の棚田もある。
・冬、地熱の高いこの地域は哺乳類たちの格好のえさ場であり、67種の哺乳類が棲息する。かつてオオカミの絶滅でエルクが異常繁殖して生態系が破壊されたが、新たにオオカミを放ったことによって生態系のバランスが回復した。

 

忙しくない方のためのどうでもよい点

・イエローストーンと言えば教科書にも登場する定番中の定番でもあります。いかにもアメリカ大陸らしいダイナミックな風景です。
・間欠泉というのは各地にありますが、日本でも別府とか諏訪湖とかにありますね。ただどちらも年々噴出量が減っているようですが。
・イエローストーンに近い風景は、かなり小規模ですが、日本でも登別温泉の地獄谷とかで見ることは出来ます。

f:id:ksagi:20210503134729j:plain

登別温泉の地獄谷

次回の世界遺産

tv.ksagi.work

前回の世界遺産

tv.ksagi.work