教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

6/25 テレ東系 ガイアの夜明け「ワクチンの真実!日本と世界の国々を比べてみた」

世界のワクチン状況を取材

 日本でもようやくコロナワクチンの接種が始まったが、世界の国々ではどのような状況であるかを各地の日本人に取材している。

 ハワイではアメリカ本土からの観光客で賑わっている。ハワイでは薬局にワクチン接種会場があり、薬剤師が接種してくれるという。ハワイでは2回目の接種を済ませたのが67%とのことで、町は平常を取り戻している。観光頼りの土地だけにワクチンに力を入れているのだという。また感染者数に応じての対応が明確に定められており、行き当たりばったりの対応を繰り広げている日本とはかなり違う。

 観光地と言えばタイのプーケットがある。観光復活のために4月から中国製のワクチンの大規模接種を始めている。これはタイの国家として事業で、そのためにプーケットには接種済みの者しか入れない徹底した水際作戦を展開している。7月には本格的に観光客を受け入れる予定であると言う。

 ワクチンの接種スピードが速かったのはイスラエル。イスラエルではワクチンを迅速に入手するために、開発の段階からファイザーに対して接種結果のデータを提供することを引き替えにワクチンを優先的に回すように契約をした。ファイザーにしたら大規模な治験データを得られるというメリットがある。ちなみにイスラエルがこの交渉をしていた頃は、日本では例のアベノマスクの配布を決定していた頃だという。

 ファイザーのワクチンの研究を最初に始めたのはドイツのベンチャー企業のビオンテックだったという。開発スピードを速めるためにファイザーに提携を持ちかけたのだという。

 

ワクチンツアーが始まっているアラスカや大胆な政策変更をしたイギリス

 アラスカでは観光客に対するワクチンの無料接種を開始した。観光のための政策であるという。空港でワクチンを接種してくれるのだという。そのために外国からのワクチンツアーも開始されている。日本の旅行会社もワクチンツアーの話が出ているが、日本に入ってからの隔離があること、副作用が出た時の保障などがネックになっているとか。

 ワクチン接種を徹底して進めているのが中国。各地でワクチンの接種を国民に呼びかけている。中国で働いている日本人によると、中国では既にコロナは過去のものという雰囲気になっていると言う。

 コロナ政策で大きな失敗をしたのがイギリス。当初は集団免疫を目指していたが、これが大量の犠牲者を出すことになってしまい、ジョンソン首相までが感染するにいたって政策を変更した。現在は研修を受けたボランティアがワクチン接種を出来るようにしたのだという。また接種対象者を細かく分けていつ接種出来るかを明確にした。さらにワクチン製造企業との交渉にはベンチャーキャピタリストを起用し、世界中のワクチンを調べて有望なものをピックアップして資本を投入、ワクチン完成の暁にはイギリスに導入する約束を取り付けて確保したのだという。また抗原検査のキットは無料で配布されているという。イギリスは「リスクを取らないとリターンがない」という姿勢で臨んでいるのに対し、日本は「リスクをとにかく取らない」のではないかとしている。もっとも私に言わせれば日本は「利権だけをとにかく取る」である。

 

 日本と世界を比べると言っていたが、実際には外国の先進事例が登場しても、それに対して日本の現状が登場することがほとんどなかった。日本の悲惨すぎる現状を伝えると、それだけで政権批判と捉えられてテレビ局が菅から圧力を受けるからだろうし、そもそも経団連の宣伝番組であるこの番組では、政権批判と受け取られるものは端からタブーであるという事情も影響しているだろう。

 今の日本はとりあえず、ワクチンの接種が始まったというイメージだけを優先させて、それをオリンピック開催の錦の御旗にしようというのが露骨である。オリンピック開催は電通や竹中の利権に直結するだけでなく、オリンピックで「日本すごい」をマスコミを統制して煽らせ、それを「自民党のおかげ」に結びつけてオリンピック明けの選挙で大勝利というシナリオに菅が固執しているとか。結局は国民の命よりも自分達の利権というのが日本の今の政治なのである。そりゃ海外と差が付くのは当然である。さすがにこの後に及んで政治家が個人的な利権を最優先にしている国なんて、およそ先進国には見かけない。

 

忙しい方のための今回の要点

・諸外国のワクチン事情を各地の日本人に取材している。
・ハワイでは観光復活のためにワクチン接種に力を入れ、今では既に本土からの観光客で賑わっている。
・同様にタイのプーケットも観光のために国策としてワクチン接種を最優先に行っている。
・ワクチン接種が早かったイスラエルでは初期の時点からファイザーに接種のデータを提供することと引き替えにワクチンを優先的に回すように契約していた。
・アラスカは観光客にもワクチン接種を無料で行うため、ワクチンツアーが世界から始まっている。また中国は徹底したワクチン接種でコロナは既に過去のものという空気になっているという。
・初期対応にしくじったイギリスでは、政策転換を行い、ベンチャーキャピタルの手法で有望なワクチンに投資、その結果として十分なワクチンを確保することに成功した。また研修を受けたボランティアがワクチン接種を出来るようにした。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・日本政府と自称愛国者さんは何かと「日本すごい」を煽ろうとするのだが、それに反して「日本ひどい」だけが散々露呈したのがこの数年でした。日本政府はいつになったら現実を直視するようになるのか。また日本国民はいつになったら目を覚ますのか。

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