教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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8/22 TBS系 健康カプセル!ゲンキの時間「災害時に注意すべき健康被害」

災害時に発生することが予想される健康被害

 台風や地震など各地で毎年のように大型災害が発生しているが、そうなった場合にはライフラインが長期にわたって停止するようなこともある。それとそれに付随しての健康被害が現れることもある。今回はそんな時に予想される健康被害とそれの対処法を紹介。

 

感染症の増加に注意

 災害時にライフラインが停止した場合に注意すべき健康被害は大きく3つあると専門家は指摘するが、その一つ目は感染症であるという。

 避難所などでの集団生活などでは感染症が発生するリスクが高い特によく発生するのが肺炎だという。実際に災害現場ではこれが最も多いという。阪神・淡路大震災では避難所や自宅で健康被害を生じた者の3人に1人は肺炎であったという。実際の医師の経験でも、最初は怪我で搬送されてくる患者が多いのに、1週間もすると病人の方が増えたという。

 災害後に肺炎が増えるのはホコリや塵や細菌が舞い上がって肺に入ることが多いからだという。また水が少ないことで口内環境が悪化することも影響しているという。水がないために歯磨きなどが出来なくなり、口の中で増殖した細菌が肺に入り込んで誤嚥性肺炎を生じるのだという。また歯周病が発生したら糖尿病や骨粗鬆症にもつながる。

 

感染症を防ぐ方法

 ではどう対処するだが、少量の水で歯を磨く方法があるという。ペットボトルのキャップに水を入れ、唇に付けないように口の中に垂らす。そして5秒間そのまま唾液を出して、歯磨き粉を使わずに軽くぬらした歯ブラシで口内を磨く。そして最後に先ほどのキャップに水を入れて2回ほど口をゆすげば終了。唾液には殺菌作用があるので少ない水で口内を清浄化できるという。さらには水の必要のない歯磨きシートなんかも存在するという。

 またトイレなどから感染することも多いという。そこで感染症を防ぐために用意したいのがゴミ袋、新聞紙、ペットシートだという。これの使い方は自宅の便器にゴミ袋を二重でセットし、そこにペットシートを吸水面が外側になるように敷く、さらにそこにちぎった新聞紙1枚分を中心を凹ますようにして敷くのだという。そして用を足したらゴミ袋1枚を外してまた新たにセットする。二重にするのは外側の袋が濡れるからで、新聞紙はそれを加えることでものが直接見えないようにするとか、新聞紙自身に脱臭作用があるためだという。これは清潔を保つのに効果的であるという。

 

水分不足から発生する病気の対策

 さて災害時に注意すべき健康被害の2つめだが、それは水分不足が引き起こす病。まず第一に上げられるのは熱中症。これの防止としては霧吹きに少量の水を入れて皮膚に吹きかけるという方法があるという。これは汗腺の働きが衰えた高齢者に特に良いと言う。

 さらに水分不足になると血液の粘度が上がって、心筋梗塞や脳梗塞の血管障害を起こしやすい。さらには水分不足では腎不全が発生しやすいという。

 これに備えるには水の備蓄だが、4人家族の場合1日に必要なのは12リットル。水道の復旧には1週間以上かかることもあるので、10日分で120リットルは用意したいという。実際に阪神大震災では1週間後でも水道の復旧率は60%に過ぎないという。また水を備蓄する場合には様々な容器に入れて分散して置くという方法がお勧めという。

 

持ってて良かったモバイルバッテリー

 ここで問題として、災害後の3日間であってよかったものを実際の被災者に聞いたところ、3位が水・電池、2位がウェットティッシュ・トイレットペーバー、では1位はというものが出るが、これは阪神・淡路大震災の被災者である私にも思いつかなかった。正解はモバイルバッテリー。なるほど阪神・淡路大震災の時にはそんなものはまだなかった。

 この結果が3つめの健康被害につながるのだが、それはストレスであるという。不安の中で情報遮断が強度のストレスが発生し、それが免疫力低下などの病気につながるという。しかも昨今はコロナの影響もあって被災者も孤立しているので余計にストレスがあるという(私の時は密集しすぎでプライバシーがないというストレスが問題となったが)。そこでモバイルバッテリーでスマホが使えれば情報も得られれば連絡も付けられるということでストレスの低減につながる・・・とのことなんだが、これってあくまで基地局がダウンしていないことが前提だな。阪神・淡路大震災の時は今のようなスマホはなかったが、電話は集中によってダウンしてしまっていた。現在でも光通信網なんかは恐らく損傷が出るだろうから、多分無線が頼りだろう。果たして捌ききれるのか。ちなみに電気のダウンした阪神・淡路大震災で実は一番強かったのが電源の必要ないダイヤル式黒電話なのだが、もうそんなアイテムはどこにもない。

 

 以上、災害時の注意事項。実際の被災者として頷けるところと、時代が変わったなと感じるところが入り乱れていた。なお私の場合は神戸の避難所にいた時は神経が張りつめいたことで身体が持ったのですが、そこから避難して周辺都市に移動した後に急に反動が来て風邪を引いて数日寝込みました。実際にあの時の神戸は粉塵がもうもうと舞っていたのでその悪影響もあったでしょうが、一番は神戸から離れると普通にバレンタインフェアとかやっていて、被災地とあまりに世界が違うことに愕然として、それによって精神の何かが切れてしまいました(実際に神戸を中心とした阪神間は修羅場だったのに、大阪まで来るとほとんど被害らしい被害はなかった)。

 そしてこの時の教訓として上がったのが、避難所ではトイレが一番深刻な問題になるということと、水のない状態では乾パンなんて喉を通らないということ。だからそれ以降は自治体も非常用トイレなどの準備を増やし、さらにはそれまでの非常用食料の中心だった乾パンを、アルファ米などに切り替えるということが行われました。とにかく被災地での非常用食料は「加工せずにそのまま食べられる」ということが重要なので、ラーメンなどの類いは意外と役立ちません(これらが役立つのはライフラインが大分復旧したから)。震災直後などはラーメンがあってもそれをそのままボリボリ囓るしかないってのが実態です。

 なお熱中症も侮れません。これは阪神・淡路ではないですが、台風のせいで私の自宅の周辺が一晩に渡って停電になったことがあり、その時には夏なのに窓も開けられない(外は暴風なので)せいで室内は地獄の暑さとなり、寝られないどころか熱中症になりかけてフラフラになったという経験があります。台風被害は暑いシーズンに発生するのでこれも要注意事項です。

 

忙しい方のための今回の要点

・災害時のライフラインの途絶などで起こる健康被害について対策と共に紹介。
・まず感染症の流行が要注意。特に肺炎が発生しやすいという。それは被災地で舞う粉塵が肺に入り込むことが原因となるが、また水不足で口内環境が悪化することなどによる誤嚥性肺炎も発生する。
・対処方として、まずわずかの水で歯を磨く方法を紹介。唾液を出すことで少量の水で歯が磨ける。
・災害時の2つめの注意事項は水分不足で起こる病気。まず第一に危険なのが夏場の熱中症。これを防ぐにはわずかな水を霧吹きで身体に吹き付けるという方法がある。これは発汗機能の衰えた高齢者に特に効果的。
・水分が不足すると血液の粘度が上がって、脳梗塞や心筋梗塞などの血管障害の危険が高まる。また水分不足は腎不全につながる危険もある。
・備蓄する水は4人家族で1日12リットル、10日分120リットルは備蓄しておきたいという。
・被災者のアンケートで最初の3日間で持っていて良かったもの1位はモバイルバッテリー。これはスマホなどで情報を得たり連絡が取れることでストレスの低減につながるという。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・私も被災してからかれこれ30年近くなるので、その頃から社会は大きく変わってます。あの頃に比べると対策が進んだ分野と、一向に対策が進んでいない分野が混在してます。正直なところ今回のコロナへの対応なんかを見ただけでも、自治体や政府の災害対応能力が一番不安ですね。

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