教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

4/10 サイエンスZERO「インターネットと脳 見えてきた依存のメカニズム」

低年齢化が進み、社会問題となっているネット依存

 現在社会問題化しつつある1つがネット依存。とくに低年齢化が進んでいるのが一番の特徴になっているという。なぜ依存するのか、どういう影響があるのか、どうすれば防いだり治したりできるのか。

 実際に依存症患者の治療に当たっている医師によると、患者の70%が未成年で、50%ぐらいが中高生で最近は小学生が増えているという。そしてネット依存が進んでる患者は前頭前野の発達が遅れているという問題が発生しているという。なお90%はオンラインゲーム依存であると言う。なおゲーム依存は2019年にWHOの国際疾病分類に依存症の1つとして追懐されたとのことである。

 

 

ネットゲーム依存が脳に与える影響

 ネットゲーム依存に陥った時、脳内のドーパミン受容体の働きが大幅に低下していることが分かったという。いわゆる幸福感が得られなくなるという「失楽園仮説」というものであり、これは覚醒剤などの薬物依存症と全く同じである(だから依存症と認定された)。ネットゲームによる大量のドーパミン分泌のせいで受容体が減少していって、最終的にはやる気がなくなった状態になってしまうと言う。また脳内を安定させるセロトニン受容体の機能低下も見られているという。

 治療法としては他の依存症と同じく「認知行動療法」があるという。ゲームに依存している考え方を変えていこうというものである。なおアルコールなどと違って完全にやめるという選択がなかなかやりにくいというのが特徴で、まずは「減らす」から始めるという。

 

 

SNS依存にネットが脳の発達に与える悪影響

 さらにネットゲーム以外にもSNSも依存性があると言う。取り残されることに対する恐怖があると言う。アメリカのでの調査では18才から22才の45%が自分はSNS依存かもしれないと回答しているという。SNSに習慣性があるのは、そもそもそうなるように機器が設計されているというのが、元IT技術者の証言である。またキーワードの1つが不確実性だという。意外な情報とか、意外な展開とかがあれば人は惹きつけられるという。で、このSNS依存症のチェックシートが番組HPに掲載されているとの放送されていたのだが、私がHPを見に行ってもNHKオンデマンドに誘導されるだけで、どこにも見つからないのだが・・・。

 なお依存まで行かないでもネット利用が脳の成長に悪影響を与えるという研究もある。我々の知能の発達に大きな影響を及ぼす前頭前野の発達は、まず5才ぐらいまでに大きく発達し、それからしばらく緩やかになり、思春期からさらに爆発的に発達するのだという。認知機能や情報処理能力を司る大脳灰白質や大脳白質を調べたところ、インターネットの使用頻度の高い子供ほど灰白質や白質の増加量が少ないことが分かったという。思春期における脳の発達の抑制は深刻であるという。なぜこのようなことが起こるかだが、単語の意味をネットで調べた時と紙の辞書で調べた時を比較すると脳の血流量がネットの時の方が少ないという結果が見られたという。

 さて重要な対策であるが、使用にハードルを作るというのがあるという。その方法としては例えば通知が来ないようにするとか、パスワードを長い複雑なものにするなどがあり得るという。さらに人は色の刺激に引かれるので、画面の色を一色にしてしまうなどという手もあると言う。またインターネットを使用しない時間を作るなどの方法もあるという。また子供に対しては教育を行うということが重要であるという。

 

 

 ネット依存・・・私も可能性は高いです。そもそもこんなブログ運営しているぐらいですから。大体、私のプライベート時間って食事と睡眠以外はほぼPCに張り付いてますから。ネットをしているか、この手の番組をタブレットで倍速再生で見ているか、あとはアニメを常速で見ているか。

 もっとも私は自分のそういう危険性は十二分に了解しますので、若い頃から1つの歯止めだけは死守してます。それは「ネットゲームには絶対に手を出さない」というものです。若い頃の私はファミコン世代の重度のゲーマーで、休日などはまる一日テレビに張り付いてFFをやっているなんて生活を送ってました。朝起きてから夜中までぶっ続けでやってるので、最後は座っている感覚がなくなって空中浮遊してしまったぐらい(笑)。

 だったんですが、世の中がネットゲームの時代に移ってきた時に、それまで自分のペースでゲームをやりこんでいた私は、どうしても「リアルの知り合いとバーチャル世界で待ち合わせてバーティーを組む」というネットゲームの世界にどうしても馴染めず、その時に「どうせ馴染めないなら、この際にゲームの世界から足を洗うか」とスッパリとゲームから足を洗ってしまったんです。大体この頃から「何か人生浪費している感じがするな」と思ってたので、ある種のセルフ認知行動療法になってたのかもしれません。

 というわけで、未だにこんな活動はしつつもネットゲームだけはしないという微妙なネットとの距離感となっています。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・社会問題になっているネット依存症だが、7割が未成年で、5割程度は中高生で最近は小学生も急増しているという。
・特に多いのがネットゲーム依存。実際に依存症になった患者の脳内ではドーパミン受容体の働きが鈍っていることが確認されており、これは薬物依存の患者などと全く同じ状態であるという。
・治療法としては薬物依存などと同じく認知行動療法によって行動を変化させるということになる。
・またネットゲーム意外にもSNSにも依存性があることが知られており、これも問題化しつつある。
・さらに依存まで行かなくても、ネットの使用が増えるほど脳の前頭葉の発達が阻害されるという研究報告もなされているという。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・正直なところ、ネットが脳に影響を与えないはずがないと思っていたんですが、やっぱりだったかという感じです。前頭葉の働きが低下すると言うことは、行動に対する抑制力も低下すると言うことなので、若者に多い衝動的な事件の発生なんかもこれと関係しているのではという気はしますね。なお老化でもその能力は低下するので、老人も衝動的な行動をよくします。

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