教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

2/5 TBS系 世界遺産「中央アメリカ最古!謎の天空都市」

中米最古の天空都市

 メキシコ南部のオアハカにある古代の天空都市がモンテ・アルバン。2500年前に始まったものだと言われている。


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 メキシコのオアハカの町は標高1500メートルの高地に広がる都市である。現在の町並みは16世紀にこの地を征服したスペイン人によるものである。それ以前にこの地にいた先住民が残した遺跡は町から10キロの山上にある。それが中央アメリカで最も古い天空都市であるモンテ・アルバンである。

 モンテ・アルバンは高さ400メートルの山上をならして築かれており、全長は700メートルある。北の端には宮殿跡と考えられる巨大な基壇が残っており、広場を中心に多くのピラミッドが見られる。これを築いたのはこの地の争いを制した先住民のサポテカ人であった。最盛期には人口は25000人に及んだ。

 

 

高度な技術ともう一つの天空都市

 踊る人々のピラミッドと呼ばれる建造物の周囲にはまるで踊っているような人々のレリーフがあるが、内臓が露わになっていることから拷問された捕虜の姿とか、医学の教科書だったなどと言われている。また象形文字なども見られるという。

 1つだけ斜めを向いている建物はメキシコ最古の天文台だと言われている。ここで暦を作っていたと考えられる。天文台の壁には天体観測の道具が描かれている。またその奥のピラミッドには人が入れる穴があり、中には垂直な穴から太陽が中に差し込むようになっている。ここに真っ直ぐに太陽が差し込む日を基準に種まきの季節などを判断したのだという。

 ドローンによる地形調査の結果、モンテ・アルバンは中央の広場だけでなく、周囲の尾根にも住居跡や神殿の跡が残っていることが分かった。

 さらに5キロ北の山には6世紀にサポテカ人が作ったアツォンパ遺跡が存在する。ここの中央には球技場があり、これは戦争の代わりに決着をつけるためのものだったという。このアツォンパにはモンテ・アルバンから最高権力者達が移住してきたと考えられている。ここのピラミッドの内部には壁画で彩られた埋葬室があり、ここから王族のものと見られる遺体に多くの副葬品が発見された。副葬品には地震の神をかたどった神像があった。

 

 

天空都市の終焉

 しかし8世紀にサポテカ人の姿はアツォンパから消え、モンテ・アルバンも衰退する。この頃、ミステカ人がこの地を征服し、モンテ・アルバンは彼らの王の墓となった。トルコ石で装飾された頭蓋骨やミステカ王の黄金の胸飾りなどが発見されている。また黄金のマスクも見つかった。

 オアハカの歴史地区はスペイン人によって築かれた町だが、中心のサント・ドミンゴ聖堂は完成まで100年かかっている。ここの金箔に覆われた祭壇は先住民の金細工の技術を使用して作られたものである。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・メキシコのオアハカにある天空都市モンテ・アルバンは、先住民であるサポテカ人が2500年前に作った中米最古の天空都市である。
・ここには多数のピラミッドが存在し、また天文台も設置されていた。ドローンの地形調査によると周辺の尾根にも住居跡が見られ、最盛期には人口は25000人に及んだという。
・モンテ・アルバンから北へ5キロの山上には6世紀に作られたアツォンパ遺跡があるが、ここにはモンテ・アルバンから最高権力者達が移り住んだとされている。
・ここのピラミッド内部から王族と見られる遺体と副葬品である神像などが発見された。
・しかし8世紀にミステカ人がこの地を支配してからモンテ・アルバンは衰退、王家の墓として使用されるようになる。
・墓地からは黄金の胸飾りやマスクなどの金細工品が見つかった。原住民達の金細工の技術は、スペイン支配下になってもオアハカの町の大聖堂の祭壇に使用されている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・中南米と言えばマチュピチュといい、なんでああも天空の都市が多いんだろう。まあ地形的に高原が多いのは事実ではあるが。

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