教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

このブログでの取り扱い番組のリストは以下です。

番組リスト

9/1 TBS系 世界遺産「傾斜40度!アンデス山脈のコーヒー畑」

コロンビアのコーヒー農園の風景

 南米コロンビアのアンデス山脈に一面のコーヒー畑が存在する。この風景が文化遺産だという。傾斜40度という過酷な環境で世界に誇るコーヒーが生まれたのだという。


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 目的の場所は首都ボコタから車で7時間の先にある。標高1000メートルから2000メートルの東京都の2/3ぐらいのエリアが世界遺産だという。100年かけて人が1本ずつ植えて出来た景観だという。ほとんどのコーヒー畑は家族経営で、多くは自分の畑を見下ろしながら生活している。番組が訪問したフリオ一家では100年前から家族総出でコーヒー栽培をしている。畑は斜面の両側で急傾斜。コーヒーの木は植えて2年ほどで収穫出来、7年経つと植え替えるのだという。熟した赤い実だけ取るので機械化出来ないのだとか。

コロンビアのコーヒー農園(出典:世界遺産オンラインガイド)

 世界遺産エリアだけで2万4000の農園が存在するという。急斜面にコーヒー畑を作ったのは、この地は昼夜の寒暖差が大きいことから栽培に適しているのだという。また木の生育に必要な雨も多く降る上に、火山灰の混ざった土壌は水はけが良くミネラルも豊富でコーヒー栽培の条件が揃っているのだという。この斜面をコーヒーの詰まった袋を持って移動する(多い日は300キロとか)。これを機械にかけて処理して豆を取り出す。この過程で品質の悪い豆は除去するのだという。豆は乾燥させた状態で街に運ぶのだとか。そのための道路も建設されており、コーヒーハイウェイと呼ばれている。そして山中にはコーヒーで栄えた町が存在する。ここに最初はスペイン人が金を求めてやって来たが、コロンビアが独立後にはコーヒーの栽培が広がったのだという。

 

 

コーヒーが国の文化となっている

 コーヒー畑にはグアドゥアという竹の一種が必ず生えているという。水を好むこの竹が生えていると言うことは水が豊かである証拠である。そこにコーヒー畑を作ったのだという。この竹は住宅の建材にもなっている。

 コロンビアは国を挙げてコーヒーを盛り上げている。町中に移動カフェがコーヒーを販売している。コロンビアコーヒーのイメージキャラクターである「ファン・バルデス」の肖像がよく描かれているとか。味を決める焙煎には技術が必要だという。産地によって様々な風味のコーヒーがあり、テイスティングで細かい評価がされるのだとか。コーヒーはコロンビアの文化なのである。

コロンビアコーヒーのイメージキャラクター「ファン・バルデス」

 国の協力で農家の連合会が作った研究所では、温暖化に耐える新種の苗の開発が進んでおり、味を落とさずに収穫量を増やしたり、化学薬品を使わずに害虫を駆除する薬の開発などもなされている。また農業体験の出来る農園などで、この自然農薬を試したりコーヒーの廃棄物から堆肥を作るなどの取り組みも行われている。重労働や収入の不安定さなどで後継者不足の懸念があり、コーヒー農家の伝統文化を若い世代に伝えて後継者を育成することにも余念が無い。先ほどのフリオさんの農場では収入を増やすために、オリジナルコーヒーを独自ブランドとして発売を開始したという。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・南米コロンビアではアンデス山脈の斜面のコーヒー畑が文化遺産となっている。
・これらの畑の多くは家族経営で、この地は寒暖の差が大きい上に雨が多くて水はけがよいことから、斜面にコーヒーの木が植えられたのだという。
・収穫は手作業で行われる。斜面は最大40度にもなるので重労働である。
・収穫された豆はコーヒーハイウェイと呼ばれる道路を通って街に運ばれる。
・コロンビアでは国を挙げてコーヒーに力を入れており、国と農家が設立した研究所では温暖化に適応した新種の開発などが成されている。
・しかし重労働や収入の不安定さを嫌っての後継者不足が課題となってきているので、農業体験などで後継者の育成に力を入れている。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・コーヒー農園が世界遺産と言われると違和感がありましたが、よくよく考えると棚田なんかも文化遺産になりますから、別におかしな事ではないですね。
・要はそれがその土地の風土や文化と密接な関わりがあるということのようです。

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