教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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5/10 BS-TBS にっぽん!歴史鑑定「大奥誕生~お江と春日局の闘い」

徳川家の乳母となった謀反人の娘

 今回は大奥誕生に関するお江と春日局の話・・・なんですが、以前に春日局の生涯の放送をしており、多分にそれをそのまま流用している。

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 秀忠とお江はそもそもは秀吉による政略結婚である。しかし夫婦仲は良かったという。しかしお江にはなかなか後継ぎである男子が生まれなかった。また秀忠は側室をとっていなかったのだが、これはお江が非常に嫉妬深かったからだと言われている。

 なお大奥はそもそもお江が設置したものだが、秀忠は側室をとらなかったことから、当初のその規模は非常に小さいものであったという。

 そのお江にようやく産まれた男子が後の家光である竹千代である。竹千代は当時の将軍家の決まり通りに生母にではなく乳母に育てられるようになる。この乳母になったのが後の春日局であるお福であった。お福は明智光秀の家臣だった斉藤利三の娘であり、本能寺の変の後は謀反人の娘として苦労している。そして小早川秀秋の家臣である稲葉正成に嫁いだのだが、後に正成が秀秋と対立して浪人になってしまったことで、お福は自立のために乳母に応募したとされている。

 

お江が弟を溺愛したことで対立が深まる

 当初はお江も竹千代を次期将軍として考えていたのだが、弟の国松が生まれたことで考えが変わる。竹千代は虚弱でおっとりしているのに対し、弟の国松の方が利発だったことから、お江は国松を溺愛し、それが秀忠をも動かすことになった。そのために江戸城中も国松を次期将軍と考えるようになっていくという。

 なおお江が国松を溺愛した理由として、竹千代は秀忠とお福の間の子だったという説もあるという。当時は竹千代の生年月日は秘密にされていたのであるが、それはお江が伏見で出産してから1年で竹千代を出産しており、竹千代の妊娠期間があまりに短いことによるという。もっとも竹千代がお福の子であるという証拠はない。ちなみに竹千代はお福と家康との間の子であるという説もある。

 またお江は織田信長の姪であり、明智光秀の家臣であった斉藤利三の娘であるお福は叔父の仇の身内に当たる。やはりその辺りはドロドロとしたものがあったのではないかとする。

 竹千代を将軍にしたいお福は、家康の元を訪れて直訴することにする。これは命の崖の行為だった。お福は家康の側室のお六を動かして、家康の心を動かすことに成功したという。家康は長子相続の原則を作り、竹千代を次期将軍にすることを明言する。

 

お江が家光に正室を送り込むが失敗する

 家光が三代将軍に就任するとお福は権力を握ることになる。ここでお江は影響力を取り戻すべく、家光に自分の息のかかった女性を嫁に迎えようとする。それには関白鷹司信房の娘の孝子が選ばれ、お江の元で様々な作法等をみっちりと仕込まれた上で家光の正室として送り込まれた。彼女に子が出来ればお江も権力を握れるという考えだったらしい。しかし二人の間に世継ぎは出来なかった。そもそも家光には男色趣味があって孝子に興味を示さなかった上に、自分を可愛がらずに弟を溺愛したお江への反発もあったのではないかという。実質的に二人の間は夫婦として成立しないまま、家光は中ノ丸御殿に孝子を移す。

 お江が亡くなると、お福は完全に大奥の最高権力者となる。そして朝廷から春日局の名をもらうことになる。

 

春日局が苦労してようやく家光の後継者が誕生する

 こうして権勢の頂点に立ち、表の政治にも影響力を行使するようになった春日局であるが、一番の気がかりは家光の後継者の問題であった。そこで自ら町中に出て、家光が好みそうな女性をスカウトした。そうして町娘からスカウトしたお楽の方は家光との間に4代将軍の家綱を産み、さらに八百屋の娘だったお玉は綱吉の母となる。なお彼女が「玉の輿」の語源であるという。ちなみに後に桂昌院となった彼女についても、この番組で以前に取り上げられている。

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 こうして一番の懸案事項を解決した春日局は大奥の整備を行ったうえで、65才で死亡する。なお彼女の権勢の大きさを警戒した幕府は、後に将軍家と血のつながりのない乳母が権勢を持たないように、授乳が終わった乳母は直ちに江戸城から出すように定めたとか。どうやら春日局のことをよろしく思っていなかった者も幕閣にいたようである。


 以上、春日局とお江の対立を中心に大奥について描いた話であるが、やはり過去に放送された春日局の生涯からの流用が大半で、映像自体ももろにその時のものを多数流用していた。この番組、どうも最近は再放送が入ったり、過去の再編集版が入ったりとネタ切れなのか予算削減なのか、どうもよろしからぬ雰囲気が漂い始めている。やっぱり民放で歴史番組というのはかなりしんどいのか。

 

忙しい方のための今回の要点

・お江に竹千代が生まれると、斉藤利三の娘であったお福が乳母になる。
・しかし弟の国松が生まれたことでお江が国松を溺愛。国松を次期将軍にしたいと考えるようになる。
・お江が国松を溺愛した理由に、竹千代が実はお福の子であったという説がある。
・お福は竹千代を将軍にするために家康に命がけの直訴をする。家康はこれを容れて竹千代を次期将軍に定める。
・竹千代が家光として将軍に就任するとお福が権勢を握ることになる。お江は力を得るために自らの息のかかった女性を家光の正室に迎えるが、家光の男色好みのせいもあって二人の夫婦関係は破綻する。
・お江の死後、権力を掌握したお福は朝廷から春日局の名を賜ることになる。
・春日局は家光の後継者を作るために、江戸の町中から家光が好みそうな女性をスカウトして大奥に入れる。そして目論見通り、家光の後継の男子が生まれることになる。
・大奥を整備して亡くなった春日局の死後、乳母が権力を握ることを警戒した幕府は、授乳を終えた乳母は直ちに江戸城から出すようになったという。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・お江が竹千代を毒殺しようとしたとか、この両者の間にはかなりドロドロした噂もあったようです。実際に竹千代は生母よりも乳母である春日局を実母のように慕っていたのは間違いないです。
・なおお江がかなり嫉妬深い女性であったので表に出すことは出来なかったが、家光には腹違いの弟がおり、これが保科正之であったとのこと。家光は彼を腹心として重用し、正之も善政をしたとのこと。これも以前にこの番組で紹介されていました。

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