教養ドキュメントファンクラブ

自称「教養番組評論家」、公称「謎のサラリーマン」の鷺がツッコミを混じえつつ教養番組の内容について解説。かつてのニフティでの伝説(?)のHPが10年の雌伏を経て新装開店。

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10/2 TBS系 世界遺産「日本の新しい世界遺産!縄文遺跡群」

縄文最大の三内丸山遺跡

 今回は日本で一番新しい世界遺産である北海道・北東北の縄文遺跡群を紹介。定住を始めた縄文人たちの集落である。


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 最初に登場するのは三内丸山遺跡。縄文遺跡のなかでも特に規模が大きいもので、中期に最盛期を迎えた集落である。この地では計画的に集落が作られている。居住エリアには竪穴式住居が復元されているが、建物跡は800以上見つかっているという。掘っ立て柱建物は高床式で墓に使用されたのではとしている。また祭祀に使われたと見られる大型掘っ立て柱建物も存在する。さらに集会所のような巨大建物も存在している。かつては海も近く釣り道具なども見つかっており、大量の土器も発見されている。

三内丸山遺跡の竪穴式住居(復元)(2020年撮影)

 

 

北東北から北海道に広がる遺跡群

 岩手県の御所野遺跡は川の近くの突き出た丘陵上にある。ここの建物の特徴は屋根に土を被せた土屋根であることだという。断熱性が良かったと考えられる。秋になると森には栗の木が実を付け、ドングリなども食糧となった。ニワトコの赤い実からは酒を造ったという。貯蔵穴という食糧保管用の穴もあったとか。建物は定期的に燻すことで虫などを防ぐようになっている。石で作った鏃なども見つかっており、狩りがなされていたことが分かる。

 北海道の太平洋側の丘の上にあるのが大船遺跡。集落近くの大船川では秋に鮭が取れ、これがこの地域の縄文人の食糧となっていた冬の保存食品として加工されていた。100以上の建物跡が見つかっているが、中には直径10メートル以上の大型建物も見つかっている。深く地面を掘っているのが特徴で、冬の寒い北海道で寒さを防ぐためと考えられる。焦げた土器が見つかっており、土器で煮込むことであく抜きして食べられるようになったのだという。

 青森の山間の縄文遺跡である小牧野遺跡には直径35メートルの環状列石が残っている。周辺には死者を埋葬した土抗墓が100基以上見つかっており、ここはお墓であり儀礼の場であったと考えられる。

 青森県の二ツ森貝塚では犬の骨が見つかっているが、埋葬したものと考えられるという。海に面していたこの地では土の中から大量の貝殻や魚の骨が発見されている。あさり、はまぐり、牡蠣にマダイにフグにイルカなども食べていたという。河口が土砂で封鎖されて汽水湖になるとシジミなどを食べるようになっているという。貝塚からは土器や装飾品なども埋められており、用済みになったものを葬る神聖な場所だったという。

 

 

忙しい方のための今回の要点

・昨年世界遺産に認定された北海道・北東北の縄文遺跡群を紹介。
・三内丸山遺跡は縄文中期の最大規模の集落である。建物跡は800以上見つかっており、計画的に集落が作られていたことが分かる。
・岩手県の御所野遺跡は断熱性を上げるために屋根に土を被せた土屋根が使用されている。集落回りの森には栗などの食用の木が多く存在した。
・北海道の大船遺跡は近くの大船川の鮭を冬の食料品として加工していた。寒さを防ぐために地面を深く掘って建物を建てているという。
・青森の小牧の遺跡には環状列石が残っており、この地は墓地及び儀礼の場だったと推測されている。
・青森の二ツ森貝塚では埋葬された犬の骨が見つかった。また多くの貝殻や魚の骨などが見つかっており、海が近いこの地の縄文人の食生活が良く分かる。


忙しくない方のためのどうでもよい点

・三内丸山は行ったことがありますが、復元建物が非常にインパクトがあります。他の遺跡は行ったことがないですが、機会があれば見学してみたいところです。ただエリアが広いので移動が大変です。

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