1/31 NHK 歴史探偵「陰陽師平安京の闇をはらえ」 - 教養ドキュメントファンクラブ

陰陽師の真相は

　最近創作の世界などで大人気の陰陽師。どうやら大河にも安倍晴明が登場したそうな。と言うわけで今回のテーマは陰陽師とのことだが、とにかくこの手の番組で陰陽師も安倍晴明も散々扱われているから、どう考えても新ネタはなさそうな・・・。

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国家公務員としての陰陽師

　まずは陰陽師の仕事ぶりだが、平安京の中で陰陽師が詰めていた陰陽寮は天皇が住む大内裏のすぐそばである。要するに国家公務員として重要な役割を果たしていたということになる。その仕事には天体観測が含まれており、天文を観測することで天変に対処するのが仕事であった。ハレー彗星が出た時は天皇に進言して改暦などが行われたらしい。

　また日ごとに吉凶などを占って、平安貴族はそれに基づいて行動していたという。その内容は爪を切る日や風呂に入る日などまで細かく指摘しているという。彼らがここまで信頼されたのは、月蝕などを天文知識によって予測していたからだという。単なる占い師ではなく、最先端の科学者の側面もあったのである。

　さらに陰陽師の役割として呪いを祓うなんてものもあったという。権力争いの裏で呪いをかける行為は日常化していたという。モグリの陰陽師が呪いの依頼などを受けていたらしい。

　番組では平安京の闇に迫るとして京都散策。まず最初の宇治は酒呑童子や玉藻前の死体がここに置かれているという。なぜそんなことをしたかといえば、街道を通ってやって来る妖怪の類いを妖怪の親玉クラスのこの二体の力で阻止するという考えとか。また比叡山麓の崇道神社には強力な怨霊が祀られている。都で凶事が続いたために調査したところ、早良親王の怨念が原因だとしてそれを祀るための神社がこの崇道神社だという。最後は躓いたら三年以内に死ぬという三年坂。これはここが元々死体の捨て場だったことから広がった伝説らしい。疫病などの原因となる疫神を追儺で追い払うという儀式が陰陽師によってなされたという。そのような儀式によって陰陽師は人心を安らげたのだという。

陰陽師のスーパースター安倍晴明

　最後は安倍晴明。晴明の住まいは御所に近い土御門町にあった。この辺りは藤原氏などの邸宅が並ぶ地域。晴明と藤原氏の関わりは、986年の花山天皇の退位に晴明が絡んでいるのだという。愛する后が亡くなって悲しみに暮れる花山天皇に、藤原道兼が心を安らげるために出家することを促し、自らも共にすると語ったのだという。しかし花山天皇が髪を下ろすとと兼家はさっさと逃げ出したのだという。これで花山天皇はやむなく退位し、一条天皇が即位したことで藤原氏の力が強まったのだが、この事件を晴明は天体の運行で事前に察知していたのだという・・・って察知したのは自分の情報網でだろ。要は晴明はこの陰謀に荷担していたのだという。とりあえずこの件で藤原氏に貸しを作って出世につなげたのだという(実に強かである)。

　さらに一条天皇の御所が火災で焼失して再建した時、暦が悪くて引っ越しの日取りがつかないという問題に対し、縁起の悪い日を反閇という北斗七星の形のステップを踏む儀式で縁起の良い日に転じさせることで解決したのだという。これで晴明は陰陽師の第一人者になったのこと。

　以上、陰陽師についてであるが、とにかく当時の貴族の生活の窮屈さが垣間見えるわけでもある。とにかく医療も進んでいないので、大怪我しても病気をしてもそれでコロッと死んでしまう時代なので、生き残るためにはいろいろと儀式にも頼らないと精神が持たなかったのだろう。

　にしても安倍晴明という人物を見ていると、非常に強かで計算高い人物という人物像が浮上するのである。空海なんかも同じところがあるが、要は特殊な術を使うと言うことはあからさまに詐欺師なのであるから、いかにそれをもっともらしく見せるかという技術に長けておく必要があったと言うことだろう。この人物も今の世に生きていれば、怪しいカルトの教祖か、テレビ関係者とかになった気がする。

忙しい方のための今回の要点

・平安時代の陰陽師は一種の国家公務員であり、御所の近くの陰陽寮に詰めて天体観測などを行っていた。
・その任務は天文から天変を予測して対応策を作ることであった。さらに日ごとに吉凶を定めた暦なども作成しており、当時の貴族はそれに従って生活していた。
・京都は様々な怨霊スポットも多い都市であり、それを鎮めて民心を安らげることは陰陽師の大きな役割である。
・安倍晴明は藤原氏が花山天皇を退位させて実権を握る陰謀に荷担し、そのことで藤原氏に恩を売って出世につなげた。また反閇という儀式で縁起の悪い日を縁起の良い日に転じさせるなんてこともしていたという。