例によっての大河ドラマ宣伝企画
またも大河の宣伝というくだらない企画である。例によって番組出演者をゲストとして呼んでいるが、ハッキリ言ってそんなことはどうでも良い。要はドラマの方でようやく紫式部が源氏物語の執筆を始めたので(半年以上もそれ以前のエピソードをグダグダやってたのか・・・道理でつまらんはずだ)、それに合わせて源氏物語について調査をするということらしい。
これだけ大河ドラマ絡みが並ぶってのは逆に苦戦してるんだろうなと想像してしまう
源氏物語の背後にある道長の意図
まずは紫式部が源氏物語を執筆しようとした時、当時は貴重であった大量の紙が必要となるのであるが、それが一体何枚かと言うことの調査から始めている。それによると源氏物語は当時は物語などは格が低いとされた(歌などは格が高いとされた)ことから、1枚の和紙を3つに切って2つ折にした六つ半本という形式を取ったと推測されるという。これから最古の写本の文字数などから推定した枚数は507枚とのこと。なおこれは清書だけで、推敲や下書きなどもあるだろうことから、2000枚以上の紙が必要だったのでという。
当時は朝廷の近くに紙を漉く部署があったが、これらは公的文書のためのものであり、紫式部が自ら入手するのは困難であると考えられるという。そこで紙を調達して紫氏式部に与えたのは藤原道長であろうと推測されるとのこと。確かに道長だったら公的な紙の一部を紫式部に流すぐらいは出来たろう。実際に御堂関白日記は極めて上質の紙を大量に使用しているという。だから最初から道長は紫式部に紙を与えて書かせたのだろうという。そしてその時に道長が想定していた読者が一条天皇だろうとのこと。道長は一条天皇が物語に夢中になって彰子の元に通うようになることを狙ったのであるとする。
様々な仕掛けを凝らした
また源氏物語自体は一条天皇の心を捕らえるための仕掛けがあるという。まず物語はひらがなで記されている。番組はここでひらがな誕生の謎について紹介。基本的にひらがなは漢字から崩れていって誕生したとされている。最初は漢字の当て字で書かれていた日本語だが、書き崩されていく過程などが分かる土器などが残っているとか。ひらがなが登場したことで文字自体が意味を持たなくなるので、心の動きなどを現すには最適であったとする。さらに紫式部は当時のリアルな政治状況を巧みに物語に取り込んでいるという。光源氏の境遇は、一条天皇の皇子であるが後ろ盾を失ってしまっている敦康親王に当たるという。これらの仕掛けが一条天皇に刺さったのではという。
最後は当時の輸入品の唐物。これらは中国からの輸入品だが、日本では作れない高度な陶磁器などが大量に輸入されており、これらは権力者の一種のステータスだったという。道長の元には当然のように大量の唐物の献上があったという。また源氏物語も一条天皇への献上用に色とりどりの紙を使った豪華本が存在しており、これは唐物の紙が使用されたと考えられるという。この唐物の紙は紋様を刷り込んだ精緻なものであったと考えられるという。番組ではそれを再現しているが、雲母を使用しているので灯火の下でキラキラする代物である。
なお多分に道長の政治的意図で始められた源氏物語だが、紫式部自体の心情も反映されており、光源氏と中流貴族の娘との恋愛物語や、中盤以降の光源氏の栄華が陰っていく展開、息子や孫の代の話などは紫式部の心情がよく表れているのではとしている。また光源氏の言葉として紫式部の思いを語っていると思われる台詞もあるとか。
以上、源氏物語についてであるが、正直なところ驚くような話は何もなし。番組ゲストは「情報量が多かった」なんて言っているが、そりゃあなたたちは歴史に興味ないからだろうってところで、歴史ファンからしたら「情報量が少なかった」というのが本音。
忙しい方のための今回の要点
・大河ドラマに合わせて、ゲストを呼んだ上で源氏物語関するエピソードを紹介。
・まず源氏物語執筆には大量の貴重な和紙が必要だったことから、これは道長が一条天皇を彰子の元に通わせるために執筆させたとしている。
・さらにひらがなを用いたのは心情を表すのに最適で、一条天皇自身を連想させるリアルな政治状況を盛り込んで一条天皇の心に刺さるようにしている。
・一条天皇への献上用については唐物の高級紙を使用した特製のものを製作したとして、番組ではそれを復元。
・なお政治的意図だけでなく、紫式部自身の心情を反映していると思われる部分も作中には多々ある。
忙しくない方のためのどうでもよい点
・ホントにこの番組は半分ぐらいは大河とかの宣伝で、残りのうちの半分は歴史に関係なかったり、どうでも良いネタだったりで、歴史番組としての質が低いわ・・・。今回も佐藤二朗とゲストの無駄話とかどうでも良い内容ばかり。そんなもの、この番組でなくてあさイチとかでやっときゃ良いだろ。
次回の歴史探偵
前回の歴史探偵